ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

11月23日(金・祝)公開 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

説明調のセリフが多く映画的な面白さは薄い

 アメリカで逮捕されたゲラート・グリンデルバルドが移送中に脱走し、彼の主張に同調する支援者たちを秘かに集め始めた。魔法省から海外渡航禁止を言い渡されているニュート・スキャマンダーは、禁止解除と引き替えに魔法省の捜査に協力するよう依頼されるが気が進まない。だがホグワーツ時代の恩師アルバス・ダンブルドアからグリンデルバルドとクリーデンス捜索を依頼されては、彼も動かざるを得ない。友人のクイニーやジェイコブと再会し、クイニーの姉ティナがクリーデンス捜索に向かっていると知ったニュートは、魔法省の禁を破ってジェイコブと共にフランスに飛ぶ。だがそのころ既に、グリンデルバルドは彼自身の大規模な組織を築きつつある。魔法省の方針に不満を持っているクイニーも、その組織の一員になってしまう。行方不明のクリーデンスは恋人のナギニとサーカスに身を潜めているが、彼の本当の目的は孤児である自分自身の出自を知ることだった。

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モアナ 南海の歓喜

9月15日(土)公開 岩波ホール

ドキュメンタリー映画の父が再現した南海の暮らし

 1920年代初頭、世界初のドキュメンタリー映画『ナヌーク(極北の怪異)』(1922)で好評を博したロバート・フラハティ監督は、家族とともにサモア諸島サバイイ島に移り住んだ。北極圏カナダでエスキモーの暮らしを撮影したのに続き、南太平洋の孤島でポリネシア人たちの暮らしを撮影しようとしたのだ。一家は族長の信頼を得て、さまざまな珍しい風習を撮影することに成功した。主人公は島の青年モアナだ。美しい島の風景の中で繰り広げられる、島民の伝統的な暮らし。島の周囲にある豊富な海の幸、ヤシやタロイモを中心にした食生活。植物の樹皮を薄く剥いで作る布と、そこに施される繊細な装飾。島に伝わる勇壮な祭りと、青年が大人の男になるため乗り越えなければならない通過儀礼。それが終われば、モアナと恋人との結婚式がはじまる。映画が完成したのは1926年。それから半世紀たち、フラハティの娘が映画に素晴らしい音声トラックを付けた。

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ボヘミアン・ラプソディ

11月9日(金)公開 TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

ライブの再現シーンはすごい迫力!

 インドからの難民家庭に育ったフレディは、ライブハウスで見かけたバンド「スマイル」に欠員が出たため、新しいシンガーとしてバンドに参加することになった。間もなくバンドは「クイーン」に改名。試行錯誤して作ったアルバムが注目されてバンドは徐々に売れ始め、4枚目のアルバム「オペラ座の夜」からは6分の大作「ボヘミアン・ラプソディ」がシングルカットて大ヒット! だがこの頃からフレディは自分の同性愛指向を意識するようになり、恋人メアリーとの関係は破綻してしまう。クイーンはさらにヒットを連発するが、バンド成功の裏側でフレディの孤独は深まり、生活は荒んで行くばかりだ。マネージャーであり愛人でもあったポールの斡旋で、フレディはクイーンを離れてソロ活動をはじめる。だがそれ結果として、フレディの孤独をより深めていく原因になってしまった。同じ頃、彼の身体を病魔が蝕みはじめる。それは当時不治の病とされたエイズだった。

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バッド・ジーニアス 危険な天才たち

9月22日(土)公開 新宿武蔵野館ほか全国順次公開

天才高校生が編み出した禁断のビジネス

 中学時代に成績優秀で数学コンテストのチャンピオンにもなったリンは、富裕層が通う名門校に特待生として招かれる。学校ではじめてできた友人はグレース。あまり成績がよくない彼女のために、リンは試験の最中にこっそり答えを教えてあげた。だがこのことが、グレースの交際相手パットに伝わってしまう。「僕にも試験の答えを教えてほしい。他の仲間たちにもだ。報酬は払う」。授業料免除の特待生も、学校に通い続けるには他にも何かと金がかかる。貧しい父子家庭のリンにとって、高額の報酬は何よりも魅力だった。リンは試験中に暗号を使って「顧客」たちに答えを教えることを思いつく。だがこの不正の一端に気づいたのは、同じく貧しい特待生のバンクだった。特待生の資格を剥奪されたリンは、父親に厳しく諌められて二度と不正に手を染めないことを誓う。だが卒業間近になった時、グレースとパットから、彼女に途方もない大口の取引が持ちかけられた……。

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パウロ 愛と赦しの物語

11月3日(土)公開 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

ひたすら地味で、暗く、つまらない

 西暦67年のローマ。ネロ帝は数年前に起きた大火の責任を、当時帝国内に目立ちはじめたキリスト教徒になすりつけ、市内では大規模なキリスト教徒の弾圧が行われていた。ローマ滞在中の使徒パウロも、放火の首謀者として囚われの身。だが今や処刑を待つばかりの彼を、かつて旅を共にした医者ルカが訪ねてくる。最後にパウロの旅と信仰の記録を聞き取って書き写し、迫害の中で苦しむ各地のキリスト教徒たちに伝えるためだ。看守に賄賂を渡し、命がけでパウロの牢獄を訪ねるルカ。だがこのことは、獄舎の長官であるマウリティウスにもすぐ知られてしまう。彼には娘があり、今は重い病に苦しんでいる。だが「ルカは優秀な医者だ。彼なら娘を治せる」と言うパウロの言葉に、マウリティウスが耳を貸すことはない。キリスト教徒の助けを借りることで、ローマの神々の怒りを招くことを恐れているのだ。だが娘が危篤状態になったとき、彼はついにルカに助けを求める。

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2001年宇宙の旅 IMAX

10月19日(金)公開 全国ロードショー

本作を大スクリーンで観る最後のチャンス?

 数十年後の未来。月面で観測された強力な磁場の中心から掘り出されたのは、400万年前に埋められた人工物だった。これは人類史上初の、地球外知的生命体との接触。人工物は木星に向けて強力な信号を発信し、人類はその目的を探るため宇宙船ディスカバリー号を木星に向けて派遣した。宇宙船には5名の乗員がいるが、酸素や食料節約のため3名は目的地付近に到着するまで人口冬眠している。目を覚ましているのは船長のデビッド・ボーマンと乗員のフランク・プール、そして船を制御する人工知能型コンピュータHAL9000だけだ。ある日、HALが船外ユニットの異常を察知して警告を出す。しかし回収されたユニットに異常はなかった。ボーマンとプールは、HALの判断にミスがあったことを疑う。だが人間たちの疑念を察したHALは、船外活動中のプールを殺害。さらにプール救出のため船外に出たボーマンを閉め出すが、彼は決死の覚悟で船に戻ってくる。

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教誨師

10月6日(土)公開 有楽町スバル座ほか全国公開

俳優大杉漣の最後の主演作

 佐伯保は教誨師だ。本業はプロテスタント教会の牧師だが、地域の拘置所で刑の執行を待つ死刑囚と話をするボランティアをしている。外部との面会が厳しく制限されている死刑囚たちにとって、教誨師の佐伯は数少ない外部との接点。佐伯が担当している死刑囚たちは、一癖も二癖もある人たちばかりだ。教誨師との面談を望みながら、ほとんど一言も言葉を発しない人もいれば、とりとめの無い雑談を延々と続けるものもいる。共通しているのは、そこにクリスチャンなどひとりもいないこと。佐伯は死と向かい合う死刑囚たちに何とかして聖書や神の言葉を伝えようとするが、その意欲が空回りすることも多い。時には死刑囚の言葉に心を揺り動かされることもあれば、彼らの言葉に翻弄され振り回されることもある。元暴力団組長からの意外な告白にドギマギし、青年死刑囚の言葉に追い詰められ動揺することもある。ある日佐伯に、拘置所の担当者から重大な知らせが届く。

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