映画瓦版は日本最大の個人映画評サイトです

「映画瓦版」は映画批評家の服部弘一郎が、個人で運営している映画評サイトです。1990年代前半から現在に至るまで、映画館や試写室で観た映画については全部感想を書いています。年間数十本から数百本程度。

 前身となるサイト「映画半可通だより」は1994年頃に立ち上げました。それからもう30年近く運営しているのですから、日本の映画評サイトの中では最古参でしょう……。

 2014年からは当サイトでブログ形式となっていますが、それ以前はHTMLを手書きしていました。旧サイトはこちらになります。いささか古くさい体裁で、最新ブラウザではレイアウトの乱れが生じるかもしれません。ただし、映画評の掲載数は旧サイトの方が多いです。

 映画レビュー(感想・評論・批評)のサイトは数多くありますが、個人運営のサイトでは「映画瓦版」が昔も今も国内最大級だろうと自負しています。あくまでも一個人の感想を書いているに過ぎませんが、今後も「映画を観たら必ず感想を書く」をモットーに日々更新するつもりです。

 なお個人サイトである気安さから、書いた後あまり読み直さずに映画評をアップしています。誤字・脱字・文字の誤変換・事実関係の間違いなどございましたら、メールでお知らせください。

 以上、よろしくお願いします。

 2021年6月8日 服部弘一郎

◎著書のお知らせ

 サイト運営者の著書「銀幕の中のキリスト教」が、キリスト新聞社から発売中です。2003年に発売された編著「シネマの宗教美学」(フィルムアート社)と同じく、映画とキリスト教がテーマとなっています。

 著者について詳しいことは、自己紹介ページをご覧ください。

2021/06/07

空白

9月23日(木・祝)公開予定 全国公開

少女の死が大人たちの弱さをあぶり出していく

■あらすじ

 地方都市の小さなスーパーが事件の発端だった。

 店内を巡回していた店長の青柳は、中学生の少女が化粧品の棚の前で不自然な行動をしている様子を目にする。間違いない。万引きだ。青柳は彼女の手を引いて事務室に連れて行くが、彼女は事務室から逃げ出した。青柳は慌てて後を追うが、彼の手を振り切って車道に飛び出した少女は、通りかかった車にはねられ即死する。

 少女の名は添田花音。漁師をしている父の充は妻と別れた後、男手ひとつで娘を育ててきた。なぜ娘は死ななければならなかったのか。スーパー側の対応に問題はなかったのか。娘は化粧品を万引きしたと言うが、自分は娘が化粧をしている姿など見たことがない。もし万引きしたのだとしたら、それは自分のためではなかったはずだ。学校でイジメがあったのではないか。

 娘を失った充は、その怒りと悲しみを関係する人々に容赦なくぶつける。青柳はその攻撃をまともに食らってしまう。

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親愛なる君へ

7月23日(金)公開予定 シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開

愛することが生み出した悲劇

■あらすじ

 ジエンイーは幼い少年ヨウユーと、その祖母シウユーと一緒に暮らしていた。ジエンイーと二人の間に血の繋がりはない。彼らは数年前に亡くなった、ジエンイーの同性パートナーの家族なのだ。

 大陸に渡って事業を興したパートナーの弟リーガンが正月に久しぶりの帰国をした日、ジエンイーは家族三人の食卓から少し距離を置くことにした。自分とパートナーの関係は、幼いヨウユーには秘密になっているからだ。彼はただの同居人に過ぎない。

 それから半年後。シウユーが亡くなった。「なぜ死んだんだ。半年前はあんなに元気だったのに!」と問い詰めるリーガンに、ジエンイーは何の反論もできない。リーガンは事情を調べはじめて愕然とする。自分の知らぬ間に、母名義の不動産は孫のシウユー名義になってる。そしてシウユーは、ジエンイーの養子になっていたのだ。

 母は財産目当てに殺されたのではないか? リーガンはシウユーを警察に告発する。

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恋の病 ~潔癖なふたりのビフォーアフター~

8月20日(金)公開予定 シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開

潔癖症カップルのパーフェクトな恋のはじまりと終わり

■あらすじ

 外出するとき、ボーチンはいつも雨合羽と手袋・マスクで完全防備する。彼は病的な潔癖症で、家の外のバイキンに触れるのが嫌なのだ。これがバカバカしいという自覚はあるが、医者からもらった薬を飲んでも行動を変えることはできない。

 生活の大半は家の中の掃除に費やされる。買い物はまとめて月に一度、完全防備で近所のスーパーに出かける。そこで彼は、運命の女性に出会った。自分と同じように雨合羽で完全防備のジンだ。彼女もやはり病的な潔癖症だという。

 ようやく、自分の悩みを分かち合える相手に出会えた喜び。二人で一緒にいれば、周囲から奇異の目で見られても気にならない。今まではコンプレックスだった悩みを、一緒に笑い飛ばせる楽しさ。二人は急速に惹かれ合い、やがて一緒に暮らすようになる。一緒にいれば、部屋の掃除もはかどる。二人は理想的なカップルだった。

 だがある日、突然ボーチンの潔癖症は消えてしまった……。

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地獄の花園

5月21日(金)公開 全国ロードショー

荒唐無稽だが痛快なアクションコメディ!

■あらすじ

 どんな世界にも派閥はある。派閥があれば、そこには衝突や戦いが生じるものだ。OLの世界も、その例外ではない……。

 大手メーカーの三富士株式会社では、狂犬の紫織、悪魔の朱里、大怪獣悦子の異名を持つ3人のOLたちが、暴力的な社内抗争を繰り返していた。だがこの抗争は、ある日を境にして一変する。中途採用された北条蘭が、あっという間に3人を叩き伏せてトップに立ってしまったからだ。

 そんな抗争とは別に、社内にはもちろん「普通のOL」たちも存在する。普通OLの田中直子は社内抗争を脇目で眺めながら、同じ部署に配属された蘭と通勤経路が同じ事から仲良くなった。蘭の周囲には常に暴力が渦巻いているが、蘭は直子に迷惑がかからないよう配慮してくれている。二人はいつも一緒だった。

 だがある日、直子は一部上場企業トムスンのOL軍団に襲撃される。トムスン軍団の目的は、直子を人質にして蘭を呼び出し潰すことだった。

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映画大好きポンポさん

6月4日(金)公開 全国ロードショー

WEBから生まれた人気マンガをアニメ映画化

■あらすじ

 映画の都ニャリウッド。大手映画スタジオ「ペーターゼンフィルム」で働くジーン・フィニは、上司である敏腕プスデューサー、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット(通称:ポンポさん)のアシスタントで連日のてんてこ舞いの忙しさ。だが映画監督志望のジーンにとって、現場で働けるのは何よりの喜びだ。

 そんなジーンに、ポンポは新作映画「MARINE」の予告編集を一任する。作った予告編は大好評で、ジーンはそのセンスと腕前を認められた。やがて彼は、ポンポから「MEISTER」という1冊の脚本を手渡される。「主演は伝説の名優マーティン・ブラドック。ヒロインは新人のナタリー・ウッドワード。この映画をあなたが監督するのよ」。ポンポにそう言われて驚愕するジーン。

 ポンポの手厚いサポートもあり、新人監督の撮影は快調に進んだ。「これはニャカデミー賞とっちゃうよ」。だが問題は、撮影終了後の編集段階で発生した……。

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HOKUSAI

5月28日(金)公開 全国ロードショー

時代の息苦しさに抵抗し続けた男の生涯

■あらすじ

 江戸時代後期。喜多川歌麿を売り出して評判の版元・蔦屋重三郎は、新しい才能の発見と育成に余念がない。そんな彼が目をつけたのが、勝川春朗という若い絵描きだった。もっとも師匠と諍いを起こして、今は勝川門下を飛び出しているのだが……。

 重三郎の見たところ、春朗の腕はそこそこ。才能の片鱗は感じるが、まだ自分が何を描けばいいのか迷いがある。やがて春朗は北斎へと改名。重三郎は彼を売れっ子の歌麿に会わせたり、若き天才・東洲斎写楽に引き合わせたりして挑発する。北斎は自分にしか描けない絵を求めて苦しむ。

 北斎が突破口を見出したのは、挿絵の仕事だった。滝沢馬琴や柳亭種彦などの人気作家とコンビを組み、次々にヒット作を放つ。北斎は絵師として独り立ちし、結婚し、子供も生まれた。「富嶽三十六景」は大評判を取った。

 だがこの頃から、出版に対する幕府の取り締まりが激しくなる。それは北斎の間近に迫っていた……。

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るろうに剣心 最終章 The Beginning

6月4日(金)公開 全国ロードショー

人気シリーズ最後の1ピースの登場

■あらすじ

 幕末の京都。佐幕派の役人や侍たちの間で、「人斬り抜刀斎」と呼ばれ恐れられている男がいた。長州の討幕派志士・桂小五郎のもとで働く緋村剣心だ。飛天御剣流の遣い手である剣心が、これまでに殺した数は膨大なもの。だが血なまぐさい人斬り稼業の間で、剣心の心は悲鳴を上げはじめていた……。

 そんな中で、剣心は雪代巴と名乗る女に人斬りの現場を見られた。目撃者はその場で消すのが人斬りの鉄則。だが意識を失って倒れた巴を、剣心は自分の定宿に連れて帰る。翌日から、巴は宿の女中として働き始めた。

 この頃、長州は追い詰められていた。一部の過激派は京の町に火を放ち、天皇をさらって身柄を長州に移すという計画を練り始める。あまりに無謀。だが長州過激派たちは、会合場所の池田屋を新選組に踏み込まれて壊滅。追われる身となった長州藩関係者は京から脱出する。

 剣心と巴も夫婦者を装って、京都郊外の民家に移り住むことになった。

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犬部!

7月22日(木・海の日)公開予定 全国ロードショー

主人公たちの戦っている相手が見えない

■あらすじ

 秋田の獣医大学に通う花井颯太は、人並み外れた犬好き。親しい友人たちは彼を「犬バカ」と呼ぶ。ある日、彼は迷い犬を一匹保護する。張り紙を作って飼い主を探したところ、それはすぐに見つかった。犬は大学の安室教授が管理していたのだ。ということは……。

 教授は外科実習の担当だ。愛護センターから殺処分予定の犬をもらい受け、生体を使った解剖実習を行っている。保護した犬はその実習教材。この犬を教授に返せば、実習で殺されてしまうことになる。颯太は一度は犬を教授に引き渡したのだが、しばらくすると犬はまた逃げて颯太のもとに戻って来てしまう。もう犬は渡せない。颯太の思いつめた様子を見て、教授は犬を颯太に引き渡すことにした。

 この出来事をきっかけに、大学に「犬部」が誕生する。メンバーは愛護センターから犬や猫を引き取って、新しい飼い主を探すのだ。

 それから16年。颯太は東京都内で自分の動物病院を開いていた。

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少年の君

7月16日(金) 新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

傷だらけの青春ラブストーリー

■あらすじ

 高校で同級生が自殺した。飛び降り死した遺体を遠巻きに眺めながら、生徒たちはスマホで写真や動画を撮っている。チェン・ニェンはその様子を見るに忍びなく、遺体の上に自分の着ていた上着を掛ける。

 自殺の原因は明らかだった。クラスメイトからの執拗なイジメだ。だがそのことについて、学校側や警察の取り調べがあっても誰も口を開かない。チェン・ニェンも黙っていた。なぜって、今は高校3年生にとって、大学入試を控えた大切なときのだから。

 だが遺体に上着を掛けたチェン・ニェンは、イジメグループの次のターゲットにされてしまうのだった。毎日続くしつこい嫌がらせ。待ち伏せ。暴力。彼女は少しずつ追い詰められて行く。

 チェン・ニェンがシャオベイに出会ったのは、そんな中でのことだった。たまたま通りがかった夜の街で、チンピラに取り囲まれて袋だたきにあっていた彼を見かね、チェン・ニェンは警察に電話しようとしたが……。

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ジャッリカットゥ 牛の怒り

7月17日(土)公開予定 シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

爆走する91分のジェットコースター映画!

■あらすじ

 南インドのケーララ州。鬱蒼としたジャングルの合間に切り開かれた小さな村に、アントニの肉屋があった。ここの肉は新鮮なことで評判だ。何しろ毎日生きた水牛を仕入れて潰し、まだ湯気が出ているような新鮮な肉を切り分けて売っているのだ。

 だがある日、アントニの店に連れてこられた水牛が突然暴れて逃げ出した。慌てて追いかけるアントニ。その様子を見た村人たちも、水牛捕獲に加勢する。だが逃げる水牛も命がけ。取りつく人間たちを振り払い、蹴散らしながら、村とその周辺を駆け回る。肉屋としての面目丸つぶれになったアントニは、まず自分が捕まえねばと血まなこで水牛を追う。

 だが水牛は捕まらない。それどころか水牛を捕まえて謝礼をせしめようと、多くの男たちが水牛を追い回し、人数はどんどん増えていく。隣村の腕自慢たちがやって来た。噂を聞きつけて札付きの不良も村に戻ってくる。

 はたして水牛を捕らえることはできるのか?

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