【新刊】銀幕の中のキリスト教

 ようやく初の単著「銀幕の中のキリスト教」が、キリスト新聞社から発売になりました。以前編著「シネマの宗教美学」がフィルムアート社から出てますが、今回も「映画+キリスト教」という本です。

 キリスト新聞社の雑誌「Ministry」や「キリスト新聞」に連載していた映画コラムが中心ですが、これだけでは単行本の分量に足りなかったことから書き下ろしも入れ、さらにもたもた推敲や校正作業をしているうちに時間かかってしまいました。

 僕がこの世で好きなものは2つあって、1つは映画、もう1つはキリスト教。クリスチャンでもない僕に、老舗のキリスト教媒体で映画とキリスト教についての連載コラムを書かせてくれたキリスト新聞社の松谷さんには本当に感謝してます。

 版元が専門書の出版社なため、一般の書店では手に入りにくいかもしれません。実店舗で手に取りたい場合は、全国のキリスト教書店(東京なら銀座の教文館、御茶の水のCLC、オアシス新宿西口店など)に並んでいると思います。教文館のネット通販でも購入できますよ。

ブレードランナー ファイナル・カット

9月6日(金)公開 全国のIMAXシアターで2週間限定公開

大画面で観るショーン・ヤングは美しかった

 西暦2019年。人類は外宇宙に進出している。苛酷な環境下で人間を手助けし、時として慰安を与えるのは、遺伝子操作で生まれた人造人間、レプリカントだ。だが人間以上に苛酷な境遇を強いられる彼らはしばしば脱走し、自由を求めて地球に逃れてくる。地球でレプリカントを捜し出して処分するのが、ブレードランナーと呼ばれる特殊刑事たちだった。ブレードランナーのリック・デッカードは、逃亡した最新型レプリカント4体の追跡と処分を命じられる。彼は最新型についての情報を得るため製造元のタイレル社を訪れるが、そこで出会った社長秘書のレイチェルは、幼少時の偽の記憶を植え付けられたレプリカントだった。逃亡したレプリカントの所持品から、ダンサーとして繁華街に潜伏中の個体を発見したデッカードは、雑踏の中で彼女を射殺。その様子を目撃した別のレプリカントに殺されそうになるが、間一髪のところで彼を助けたのはレイチェルだった……。

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ロケットマン

8月23日(金)公開 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

エルトン・ジョンの伝記ミュージカル映画

 ド派手なステージ衣装のまま、依存症の治療施設に駆け込んできた男。世界的なロックスター、エルトン・ジョンだ。アルコールや合法・違法のさまざまな薬物、さらにはセックス、過食、買い物など、ありとあらゆる依存症になっていることを告白した彼は、そこに至ったこれまでの生涯について語り始める。本名はレジナルド・ドワイト。両親の愛に恵まれない、寂しく孤独な少年時代だった。彼のピアノの才能を見抜いて、王立音楽院への進学を後押ししてくれたのは祖母だけ。レジーは学校でも神童ぶりを発揮するが、やがてロックに出会って友人たちとバンドを組む。そこで新しい自分にふさわしい名前として選んだのが、エルトン・ジョンという新しい名だった。レコード会社の募集広告に応募した彼は、そこでバーニー・トーピンという作詞家に出会ってコンビを組む。コンビが生み出した最初の大ヒット作が「僕の歌は君の歌」。初のアメリカツアーも大成功だった。

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

8月30日(金)公開 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

タランティーノが作った夢のハリウッド

 1969年のハリウッド。テレビ西部劇で一世を風靡した俳優のリック・ダルトンは、番組打ち切り後に何本かのB級アクション映画に出演した後、これといっためぼしい役にありつけないまま「往年のスター」扱いされつつあった。時々回ってくる役は、テレビ映画にゲスト出演する悪役ばかり。彼に忠誠を尽くす専属スタントマンのクリフ・ブースも、今では身の回りの世話をする雑用係のようなありさまだ。そんな彼の家の隣に最近引っ越して来たのは、『ローズマリーの赤ちゃん』の大ヒットで時代の寵児となっているロマン・ポランスキー監督と新妻シャロン・テート。成功の上り坂を駆け上がる者と、同じ坂をゆっくり下って行く者の悲しい対比だ。リックにはイタリア製西部劇への出演依頼があるが、ハリウッドで一度は時代の寵児となった男にとって、イタリアへの都落ちはプライドが許さない。同じ頃、ハリウッドでは危険なカルト集団が勢力を伸ばしつつあった。

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ダンスウィズミー

8月16日(金)公開 全国ロードショー

いろいろ残念なミュージカル・コメディ

 東京の大手企業に勤める鈴木静香は、姉に押し付けられた姪っ子の子守で遊園地へ。そこでインチキ臭い老催眠術師マーチン上田に出会い、安っぽい催眠術をかけられる。「あなたはミュージカル女優です。音楽が流れると、歌ったり踊ったりしないではいられません!」。学校の出し物でミュージカルに出演するという姪っ子に催眠術はかからなかったが、どういうわけかこの術が静香にだけはしっかりかかってしまった。社内プレゼンの席で、静香はふいに流れ出した音楽に反応して盛大に歌い踊り、周囲を啞然とさせる。このままでは仕事にならない。仕事どころか日常生活にも差し障る。もとに戻るには、マーチン上田に催眠術を解いてもらうしかない。しかし借金まみれのマーチンは遊園地から姿をくらまし、気ままな地方巡業の旅に出てしまう。静香はマーチンの小屋でサクラをしていた千絵を仲間にひっばりこみ、マーチンを追いかける旅に出る。その期限は1週間だ!

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さらば愛しきアウトロー

7月12日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国公開

レッドフォード流アウトローの到達点

 1980年代初頭。警察で強盗事件を担当する刑事ジョン・ハントは、たまたま訪れた銀行で強盗事件に出くわす。ところがその手口があまりにも洗練されていたことから、ハ
ントはその一部始終を目撃しながら、それが強盗事件だとはまったく気付かなかった。犯人は高齢の白人男性と数人の仲間。犯行の手口や堂々とした態度から見て、彼らは他にも事件を起こしているはずだ。近隣の警察や周辺州にも問い合わせたところ、果たして同じ強盗団はこれまでにも数え切れないほど銀行を襲っていた。手口は様々だが、被害を受けた銀行の担当者は口々に「良い人そうだった」「幸せそうな人に見えた」と証言する。警察とマスコミはこの強盗犯たちに、「黄昏ギャング団」というあだ名を付ける。 州を越境する事件だったため、間もなく捜査権限はFBIに移管。ギャング団のリーダーは、フォレスト・タッカーという男だとわかった。だが彼らは、その後も犯行を重ねていく。

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ピータールー マンチェスターの悲劇

8月9日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国公開

人間の姿は200年たっても変わらない

 1815年。ウォータールーの戦いでナポレオンが敗れた。連合軍を率いたウェリントン公爵は、救国の英雄として讃えられる。だが戦闘に参加した末端兵士たちは、何の恩賞もないまま貧しい生活に戻って行くしかない。マンチェスターの我が家に戻ったジョシュアも、そんな貧しい兵士のひとりだった。当時のマンチェスターは繊維産業が盛んで、彼の家族も織物工場で働いている。だが戦後の不景気で労働者の賃金は削られ、生活はますます貧しくなっていく。しかも当時のイギリス議会には、こうした貧しい労働者の声が届かなかった。労働者階級には選挙権がなく、普通選挙を求める者は革命を求めるに等しい過激派だと思われていたからだ。それでもマンチェスターの労働者たちは普通選挙を求め、有名な演説家のハントを招いて大規模な集会を開催しようとする。ハントは政治家や軍に妨害の口実を与えぬよう、市民は非武装で集会に参加するよう指示したのだが……。

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KESARI ケサリ 21人の勇者たち

8月16日(金)公開 新宿ピカデリーほか順次公開

サラガリ砦の攻防はインド版アラモの戦いだ

 19世紀末。イギリス統治下のインド北部。現在はパキスタン領になっている山岳地帯の警備を任されているのは、少数のイギリス仕官とシク教徒の兵士たちだった。シク教徒のイシャル・シン軍曹は、上官の命令に逆らってパシュトゥーン人女性を救出したことから、辺境のサラガリ砦に左遷される。サラガリ砦は小さな通信中継地で、隊長になったイシャルの部下は訓練の行き届かない20人のシク兵のみ。イシャルは大急ぎで彼らを兵士として鍛え直す。だが同じ頃、パシュトゥーン部族たちはイギリス軍への大規模な叛乱を企てていた。これまでは個別にイギリス軍と戦ったため、あっという間に蹴散らされてしまった。部族同士で連合軍を作り、周辺の砦を一つずつ攻撃すれば、圧倒的な数で優るパシュトゥーン人たちの勝利だ。最初の攻撃目標は、警備兵の数が少ないサラガリ砦。1897年9月。1万人のパシュトゥーン人たちが、イシャルたちの守る砦を取り囲んだ。

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