消えた画 クメール・ルージュの真実

消えた画 クメール・ルージュの真実

土人形に刻まれたポル・ポト時代の記憶

 映画監督のリティ・パニュが、1970年代のカンボジアで起きた虐殺と饑餓について語り始める。彼は家族と共に首都プノンペンで平和に暮らしていたが、1975年にポル・ポト派が政権を握ると、都市部の住民は財産の全てを奪われた上で農村での過酷な労働に従事することになる。監督はこの時の体験を、小さな土人形を通して語っていくのだ。当時のカンボジアは急進的な原始共産制の実験場になった。この方針に反抗することは許されない。反抗したり不平不満を言う者は裏切り者として処刑され、飢えに耐えかねて盗みを働いた者も弁解の余地なく処刑された。当時のカンボジアは国中が強制収容所だった。強制労働と饑餓の中で、多くの人が次々に死んでいった。監督の父は死んだ。兄弟も死んだ。母も死んだ。だが死んだ家族の記録は何も残らない。だから監督はそれを土人形にする。消え去った今も監督の中に鮮明に残るイメージを、土のかたまりに刻み込むのだ。

(原題:L’image manquante)

7月5日(土)公開予定 ユーロスペース

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