泣く男

泣く男

10月18日(土)公開予定 新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国ロードショー

『アジョシ』に続くバイオレンス・メロドラマ第2弾

 韓国人孤児としてアメリカで育ち、国際犯罪組織の殺し屋として幾多の人間の命を奪ってきた男ゴン。これまで淡々と仕事をこなしてきた彼だったが、ある仕事で無関係な幼い少女を射殺してしまったことから罪の意識に責めさいなまれるようになる。だが組織は非情にも、彼に新たな仕事を押し付けてくる。次のターゲットは、ゴンが殺した少女の母親モギョンだ。彼女の元夫は犯罪組織の仕事に関わっていたが、秘密口座の情報をロシアマフィアに売ろうとして抹殺されている。だが彼は殺される直前に、口座情報を親しい人の誰かに送ったらしい。その相手の候補にモギョンもいるのだ。情報が外部に漏れる前に、彼女を抹殺することが組織の防衛につながる。ゴンにこの命令を拒否することはできない。韓国に戻ったゴンはモギョンの周囲を調べはじめるが、いざ殺そうとしても銃の引き金を引くことはできなかった。組織はゴンの裏切りを知って、新手の殺し屋を差し向ける。

 ウォンビン主演のアクション映画『アジョシ』(2010)で、世界中のアクション映画ファンを圧倒したイ・ジョンボム監督の新作。大成功した前作から4年もたっているのは、監督自身の中に「次に語るべき物語」が見つからなかったからだろう。結局この映画も「凄腕だが孤独な男が弱い女を守るために巨大組織に戦いを挑む」という、『アジョシ』と似たような筋立ての話になってしまった。前回の主人公は特殊部隊の元隊員だったが、今回はそれが殺し屋になる。前回は幼い少女を守る戦いだったが、今回は幼い少女を殺した罪滅ぼしに彼女の母親を守る戦いになる。犯罪組織は中国系の巨大組織に変わり、主人公に決戦を挑むラスボス的な殺し屋はタイ人から欧米系も含む3人組になる。近距離でのナイフを使った殺し合いが、銃を使った戦いになる。いろいろ前作と違うことをしようとはしているのだ。でもどうアレンジしてみても、映画は『アジョシ』を抜け出せない。

 アクションで評価された監督が、柳の下のドジョウを狙って何度も泥を引っかき回してみるのは別に悪いことじゃない。それで新たに前回よりもっと立派なドジョウが見つかる可能性だってあるからだ。でも『アジョシ』という大きなドジョウに比べると、今回の『泣く男』は並のサイズに過ぎなかった。これ単独で観れば「マンションの銃撃戦はすごかった」という評価もできそうだが、こちらは既に『アジョシ』を観ている。あの大ドジョウを凌駕しろと欲張るつもりはないが、せめて似たサイズのドジョウを見せてほしいのだ。でもこれは普通サイズだった。いや、実際には普通以下だ。主人公が少女殺しで精神的に参っていることを知りながら、さらにその母親を殺せと命じる組織の考えが理解できないし、彼がこの命令を拒絶する決定的な理由もわからない。主人公と母親の思い出をリンクさせるなら、主人公が最初に殺すのは少女ではなく少年にすべきだったのではないか。

(原題:우는 남자)

東映第1試写室にて
配給:CJ Entertainment Japan
2014年|1時間56分|韓国|カラー|シネスコ|5.1ch
公式HP:http://nakuotoko.jp
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt3697566/

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