花宵道中

11月8日(土)公開予定 テアトル新宿、池袋シネマ・ロサ

安達祐実が遊女役で濡れ場にも挑戦

花宵道中

 天保8年の火事で吉原が焼け、山田屋はしばらく仮宅での営業となった。子供時代から吉原で育った朝霧はあと1年で年季が明けるが、身寄りもなく、行くあてもなく、何かの約束を交わした好いた男がいるでもない。今はただ淡々と日々の客を取りながら、その日が来るのを待つだけだ。大門から出られない吉原に比べると仮宅での営業は遊女の自由も多い。妹分の八津と一緒に近所の縁日を見物に出かけた朝霧は、そこで半次郎と出会う。元職人だと言う彼の飾り気のない態度に、今まで男に心を動かされたことのない朝霧の胸はなぜかときめくのだった。それから間もなく、店には久しぶりに吉田屋がやって来る。朝霧の姐女郎だった霧里は彼に身請けされたが、それからわずか半年ほどで病死している。複雑な気持ちで座敷に出た朝霧を待っていたのは、吉田屋の同伴客として店にやって来ていた半次郎。朝霧は吉田屋の相手をしながら、どうしても半次郎が気になるのだった。

 安達祐実が江戸時代の遊女に扮し、オールヌードで大胆な濡れ場を演じることが話題になっている作品。原作は2006年に「女による女のためのR-18文学賞」の対象と読者賞を受賞した、宮木あや子の同名小説。脚色は鴨義信。監督は豊島圭介。製作プロダクションは数々の時代劇作品を手掛けてきた老舗の東映京都撮影所で、今回の映画でも美術や衣装はしっかり作られている。吉原ものや遊郭ものは多いが、火事で焼け出された見世が吉原の外の仮宅で営業しているという設定は面白い。一般の男性が相手を吉原の遊女と知らないまま恋愛関係になるということは、吉原の中ではまずあり得ない。だが普通はあり得ないそのことが、仮宅ではあり得るのだ。遊女たちが店の空き時間に比較的自由に外出し、買物をしたり、人に会ったりする仮宅という空間。そこは目に見える囲いが存在しないだけに、遊女たちの心を縛る目に見えない囲いの存在が浮き彫りにされてくるのだ。

 ただしこの映画には根本的なところに嘘とごまかしがあり、映画を観ながら少し白けてしまった。江戸時代の人間は、服装や言葉づかいでどんな身分のどんな職業の人間かがすぐわかる。それを細かく描き分けるのが時代劇「らしさ」なのだが、この映画はその「らしさ」を壊した上で物語を作っている。吉原の遊女が縁日で若い職人に出会って恋をする。相手も遊女に好意を持つが、その時点で相手が遊女だとは気づかないという物語。しかしこれは、現実の江戸ではまずあり得ないのだ。江戸に出てきて間もない上方の男が、仮宅で営業中の遊女を万が一にでも素人と見違えたとしても、遊女は本当なら眉を落としてお歯黒をしているのだ。映画では見た目に配慮してそれを省略しているが、実際の半次郎は朝霧と出会った瞬間に彼女が遊女だとわかったか、せいぜい縁日見物の既婚女性だと思ったはずなのだ。時代劇の「らしさ」という点では、ここをごまかしてほしくなかった。

東映第1試写室にて
配給・宣伝:東京テアトル
2014年|1時間42分|日本|カラー|ビスタ|5.1ch
公式HP: http://hanayoidouchu.com
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3570006/

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