小野寺の弟・小野寺の姉

10月25日(土)公開予定 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

「いい人」だけじゃ幸せになれないのだ

小野寺の弟・小野寺の姉

 東京郊外の一軒家に暮らす、小野寺より子と小野寺進の姉弟。ふたりはまだ子供だった頃に両親を亡くし、その後は姉弟寄り添うようにして生きてきた。だがそれから20年。弟は33歳、姉は40歳になってもまだ独身だ。商店街のめがね店に勤める姉は男性との縁に恵まれず、メーカーで調香師をしている弟は以前付き合っていた恋人と別れた痛手がまだ癒えていない。そんな小野寺家の郵便ポストに、ある日間違って届けられた1通の封書。これをきっかけに、姉弟は絵本作家志望の岡野薫と出会う。進は薫の絵本作りに協力して彼女と親しくなり、より子もふたりをくっつけようとあれこれ世話を焼く。一方より子自身も、勤め先に出入りする営業マンの浅野といい感じになっている。ふたりはようやく幸せになれるのか。だが薫が自分に寄せてくれる好意を嬉しく思いながら、進はなぜか彼女を避けようとする。それは前回の失恋の理由でもある、進のある思いが原因だった。

 脚本家の西田征史が、2012年に発表した同名小説を自ら脚色し監督した作品。西田監督はこれが長編映画監督デビュー作だ。主人公の姉弟を演じるのは向井理と片桐はいり。ふたりは昨年上演された舞台「小野寺の弟・小野寺の姉 -お茶と映画-」にも出演しているのだが(作・演出は西田政史)、DVDの説明を見る限り、これは小説や映画と同じキャラクターを用いた別のストーリー。おそらく映画版の話があった上での番外編、あるいは続編、もしくは前日譚なのだろう。映画版『小野寺の〜』を観てもこの姉弟のその後はとても気になるので、何らかの形で続編を作り、姉弟を幸せにしてやってもらえないものだろうか。(あ、この書き方って映画のライトなネタバレかな……。)キャラクターが秀逸なので、深夜帯のテレビドラマなどで数回に分けて放送し、DVD発売すればいいと思うんだけどな。映画は映画で完結しているのだが、これでは姉弟が不憫すぎるのだ。

 登場する人たちに、これといった悪人が出て来ないドラマ作品だ。悪人が出て来ないどころか、登場してくるのはみんな善人と言ってもいいだろう。だが善人ばかりが寄り集まれば、そこでみんなが幸せになれるとは限らない。ここに登場するのは、善人ではあっても鈍感な人たち。誰かを思いやるがゆえに別の誰かを傷つけたり、目の前にある自分の幸せに浮かれて他の人の気持ちを察する余裕がなくなってしまう人たちだ。より子や進は、どちらかと言うと他人の気持ちを思いやって自分の幸せを後回しにする人たち。紛れもない善人だ。でもその善意が、かえって人を困らせたり、戸惑わせたり、苦しめたりすることもある。こういう人たちは、近くにいたら結構うっとうしい人たちかもしれない。映画ではそんな主人公に対して、親友が厳しい一言を放つ場面があるのが痛快だ。

 花王が取材協力しているが、以前同社に勤めていた頃、同僚に元調香師という人がいたなぁ……。

ショウゲート試写室にて
配給・宣伝:ショウゲート 宣伝:スキップ、Bronco.
2014年|1時間54分|日本|カラー|シネマスコープ|5.1chサラウンド
公式HP: http://www.onoderake.com
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3501410/

小野寺の弟・小野寺の姉 -お茶と映画- [DVD]
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