ザ・ゲスト

11月8日(土)公開予定 シネマサンシャイン池袋ほか全国公開

息子の戦友だったという青年の正体は?

ザ・ゲスト

 イラク戦争で息子を亡くしたピーターソン家に、ある日デイヴィッドと名乗る青年が訪ねて来る。「軍隊で息子さんと一緒でした。彼が亡くなった時もそばにいたんです」と語る彼に家族はすっかり心を許し、デイヴィッドはしばらく家族と一緒に暮らすことになる。物静かで控え目でありながら、気配りが行き届いてすぐに家族と打ち解けてしまうデイヴィッド。堅物かと思えばさばけたところもあり、時には腕力にものを言わすことも辞さない不思議な魅力を持っている。だがある出来事をきっかけに、長女のアナはデイヴィッドの素性に疑問を持つ。軍の広報に彼について問い合わせたところ、そこで得られた返事は意外なものだった。兄と同じ部隊にいたデイヴィッドという兵士は、数週間前に事故で死亡しているというのだ。では家にいるデイヴィッドはいったい誰なのか? 同じ頃アナからの問合せを受けた軍内部では、これに対応する暗殺部隊の編成が行われていた……。

 『ビューティフル・ダイ』(2019)や『サプライズ』(2011)のアダム・ウィンガード監督最新作。息子の死という大きな傷を負った家族のもとにやって来た好青年が、じつはとんでもないモンスターだったというサスペンス・スリラー映画だ。この映画の恐ろしさは、家族のゲストとして逗留しているデイヴィッドの正体を見せないところにある。彼が何者なのか、結局は最後の最後までわからない。彼らは家族を守ろうとしている。家族を苦境から救おうとしている。それは間違いない。だが彼の目的はそれだけではない。彼がなぜ家族を訪ねてきたのか。彼の行動目的は何なのか。そしてなぜ、多くの人を傷つけるようなことをするのか。最後の最後まで腑に落ちない。矛盾だらけなのだ。なぜ彼がそんなことをしているのか理解できない。彼の行動は常に観客の想像を裏切る。わからないものに出会った時、人間はそれを恐れる。だからこの映画は、最後まで恐ろしい。

 もちろん映画の中には、これまでにも動機不明で行動の予想が不可能な殺人鬼が登場した。それは狂った人間であることもあれば(サイコキラー)、野生生物(巨大ザメ)や外宇宙から来た未知の生物(エイリアン)の場合もある。彼らが予想不可能なのは、彼らが通常の人間とはまったく異なる思考回路を持っているからだ。だがこの映画のデイヴィッドは、そうした異次元の存在ではない。彼の行動は筋道を立てて説明すれば、おそらく誰にでも理解できる合理的なものなのだ。その証拠に、彼を追う軍人たちはその行動を正確に予想している。デイヴィッドはある一定の行動パターンに、正確に従っているだけだ。しかしそれが、観客に知らされることはない。デイヴィッドが言うには、「説明すれば理解できるだろうが、今はその時間がない」のだ。これは我々が暮らしている現代社会の姿そのもののようにも思えてしまう。デイヴィッドは我々のごく身近なところにいるのだ。

(原題:The Guest)

ショウゲート試写室にて
配給:ショウゲート 宣伝:スキップ、ハート&ハート、スターキャスト・ジャパン
2014年|1時間40分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|サ5.1ch
公式HP: http://the-guest.jp
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2980592/

The Guest Original Motion Picture Soundtrack
J-2 Music (2014-09-16)
売り上げランキング: 8,861

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