超能力研究部の3人

12月6日(土)公開予定 シネマート新宿ほか全国ロードショー

この映画のどこまでが本当なんだろうか?

超能力研究部の3人

 映画を作るためのオーディションで、アイドルグループの乃木坂46から抜擢された秋元真夏・生田絵梨花・橋本奈々未の3人。彼女たちに与えられた使命は、学園SF映画『超能力研究部の3人』に出演することだった。原作は大橋裕之の連作短編集「シティライツ」。監督は『リンダリンダリンダ』(2005)や『もらとりあむタマ子』(2013)の山下敦弘で、脚本は『苦役列車』(2012)で山下監督と組んでいるいまおかしんじ。他の出演者も続々と撮影現場にやってきて、撮影はスタート。まずはスタジオでのリハーサル。次にロケ先での本番撮影。だが演技者としては素人の3人に、山下監督はなかなかOKを出せないでいる。思い悩む3人。撮影の合間にかいま見える、アイドルたちの素顔や本音。監督も悩む。事前の打ち合わせでOKだったはずのキスシーンが、土壇場でNGになる重大トラブルも発生した。はたして、この映画は本当に完成するのだろうか?

 映画のタイトルは『超能力研究部の3人』で、映画の予告編もその映画の紹介のような形になっているのだが、映画の中身は『超能力研究部の3人』という映画を作るメイキング風景。映画作りの裏側を描くフィクションと言ったほうが正しいかもしれない。『雨に唄えば』(1952)や、『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973)、『リビング・イン・オブリビオン/悪夢の撮影日誌』(1995)などの系列につながる「映画を作る映画」のひとつだ。こうした映画の常として、完成した映画自体は映画の中に登場しない。(DVDの特典映像には入ったりするのかな。)ただしこの映画の特徴は、出演する3人のアイドルタレントたちにこれが「映画を作る映画」だと教えていなかった部分にある。3人のアイドルたちは少なくとも途中まで、これが本当の映画製作現場だと思っていたらしい。ただしそれがいつから「意図的演出」になっていくのか、境界線は曖昧だ。

 「映画を作る映画」の多くは、綿密な脚本によって映画製作の舞台裏を再現していく。だがこの映画はあちこちに、本物の映画撮影の舞台裏が出てきている……のだろう。映画はすべてが本物というわけではない。映画の最後には出演している「役者」たちの名前もちゃんとクレジットされている。明らかに役者だとわかる人もいるが、クレジットを見て「この人も役者だったの!」という人もいる。このあたりは映画を観てのお楽しみ。全部が真実ではないが、全部が全部虚構というわけではなさそうな曖昧であやふやなところが、この映画のユニークさであり面白さ。映画を観ているうちに、足下が融けて流れ出して行くような奇妙な感覚を味わえる。どこまでが計算で、どこまでが偶然か、そんなことはわからない。バックスクリーンものの映画としても、フェイクドキュメンタリーとしても、アイドル映画としても、微妙なバランスの上に成り立っている不思議な作品だと思う。

シネマート六本木(スクリーン3)にて
配給:BS-TBS 配給協力:トリプルアップ 宣伝:る・ひまわり
2014年|1時間59分|日本|カラー
公式HP: http://www.bs-tbs.co.jp/chonoryoku3/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3961162/

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