スパイ・レジェンド

1月17日(土)公開予定 角川シネマ新宿、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー

ピアース・ブロスナンがスパイの世界に復帰

スパイ・レジェンド

 かつてCIAの敏腕エージェントとして世界中を股にかけたピーター・デヴェローは、スイスのローザンヌで静かな隠退生活を送っていた。そこにやってきたのは、かつての仲間ジョン・ハンリー。ロシアの次期大統領と目される有力政治家アルカディ・フェデロフについての重要な情報をつかんだ女性エージェントが、ピーターに救出を求めているのだという。かつて愛した女のため、単身モスクワに向かうピーター。だが彼女は彼の目の前で、証拠隠滅のためCIAの暗殺部隊に射殺されてしまった。ナタリアが最後に残した言葉は「ミラ・フィリポワ」。その女がフェデロフについての貴重な情報を握っているという。ピーターはミラの行方を追ってベオグラードへ飛び、彼女と最後に接触した女性アリスを見つけ出す。だがミラを追っているのはCIAも同じ。フェデロフも強力な殺し屋を送り込んできている。ピーターはアリスをかばいながら、懸命にミラを探すのだが……。

 ピアース・ブロスナンが製作主演する本格スパイ・アクション映画。原作はビル・グレンジャーの「There Are No Spies」(1987)。同じ主人公が活躍する小説は何冊か邦訳されているが、この小説は日本語訳が出ていない。冷戦時代を背景とするスパイ小説なので、おそらく今後も日本語訳が出ることはないだろう。グレンジャー自身も2012年に亡くなり、彼の本の多くは(この映画の原作を含めて)ほとんどが絶版になっている。しかしピーター・デヴェローを主人公にする作品は人気シリーズだったわけで、ブロスナンがこの本に目をつけて現代的にリメイクしたのは目の付け所が良かったかもしれない。彼は世界的に有名なジェームズ・ボンドを演じたこともあるのだが、本作はそれとはまったく違ったハードでリアルなスパイ映画になっている。(もっとも最近の007しりーずも、同じようにハードでリアルな路線を狙っているようだけれど。)

 映画の魅力は主人公ピーター・デヴェローのキャラクターにある。彼は優しさと非情さを併せ持つ男だ。映画冒頭にあるテロリスト射殺シーンでは、自分の命が犠牲になったとしても、無関係な第三者が巻き添えで傷つけられることを避けようとした。このエピソードで、観客にはデヴェローの好人物ぶりがしっかりと印象づけられる。しかし彼はそれだけの人間ではないのだ。場合によっては無関係な第三者でも平気で抗争に巻き込み、傷つけることに躊躇しない。大きな矛盾を抱え込んだまま、それがひとりの人間の中で不可分な要素として同居しているのだ。俳優ならばぜひとも、こんな役を演じてみたいに違いない。劇中でもうひとり面白い人物をあげるとすれば、デヴェローの教え子とも言える若手CIAエージェントのデイヴィッドがいる。ピーターを父親のように慕いながら、同時に彼の命を狙うという男。演じているルーク・ブレイシーは今後期待の若手俳優だと思う。

(原題:The November Man)

角川映画試写室にて
配給:KADOKAWA 宣伝:ポイント・セット
2014年|1時間48分|アメリカ|カラー|シネスコ|ドルビーデジタル
公式HP: http://spylegend.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2402157/

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