君に泳げ!

2月28日(金)公開予定 シネマート新宿、シネマート心斎橋

高校水泳部を舞台にした青春スポーツドラマ

君に泳げ!

 韓国水泳界の若きホープとしてオリンピック出場の有力候補と言われていたウサンは、留学先で他国選手とトラブルを起こして代表団を外され、高校の体育科で学生スイマーとして再出発することになる。同じ頃、通っていた高校で不祥事を起こして退学処分となったウォニルは、水泳選手になることを条件に高校の体育科に拾われる。こうしてウサンとウォニルは同じ高校の水泳部で出会うのだが、それは初めての出会いではなく7年ぶりの再会だった。ウォニルはかつて天才小学生スイマーとして韓国各地の大会で優勝をさらい、ウサンは常に準優勝に甘んじていた。だが水泳選手だったウォニルの父が試合中の事故で亡くなってから、ウォニルは水泳から離れて普通の高校生になっていたのだ。有り余る才能を内に秘めながら水泳に本気になれないウォニルと、ひたむきな努力で一流選手へと成長したウサン。ふたりは時に反発しながらも、固い絆と友情を深めていくことになる。

 高校の水泳部を舞台に、ライバル同士の友情と幼なじみの少女との恋模様を描く青春ドラマ。主演はイ・ジョンソクとソ・イングクだが、ふたりがどの程度の人気者なのか僕はまるで知らない。わかるのは彼らがとても努力して、この役に打ち込んでいることだ。水泳は他のスポーツと違って、映像にした時のごまかしがきかない。体の露出が多いので、スポーツ選手に見える体を作らないといかにも嘘っぽくなってしまうからだ。主演のふたりは映画的に嘘にならない体をきちんと作っているし、泳いでいるシーンも吹き替えなしで演じているという。大したものだ。他の出演者ではウォニルの幼なじみの少女ジョンウンを、少女時代のクォン・ユリが演じているのが見どころなのだろうか。主人公の高校生3人の関係は、あだち充の「タッチ」にも似ている。ふたりの少年とひとりの少女が、それぞれの道を全力疾走していく清々しさ。監督のチョ・ヨンソンはこれがデビュー作だ。

 十分面白くて感動的な映画ではあるのだが、映画の作りにどうも腑に落ちないところがある。一言でいえば、もともとずっと長い映画を無理に短くカットしたとしか思えないのだ。エピソードに描き足りていない部分が多すぎる。例えば導入部で主人公ふたりを紹介するくだりも、ウサンが外国人選手とトラブルを起こした理由がわからないし、ウォニルが退学になった理由がわかりにくい。ウォニルの父が試合中に事故死したエピソードはあるが、母親がいつどうして亡くなったのかはわからない。仲間とバンドをしているジョンウンのエピソードも、バンド仲間のエピソードが描き足りない。びっくりするのは水泳部でウォニルとつるんでサボっていた選手が、突然ウサンに「一緒に練習しよう」と言い出すエピソード。どれも話が理解できないわけではないが、本来あるべき伏線や段取りがないのは不可解なのだ。ひょっとしてこの映画、本来は3時間ぐらいあったんじゃないの?

(原題:노브레싱 No breathing)

シネマート六本木(スクリーン3)にて
配給:NBCユニバーサル・エンターテイメント 配給協力:アルシネテラン
2013年|1時間58分|韓国|カラー|スコープ|5.1ch
公式HP: http://www.nbcuni.co.jp/movie/sp/oyoge/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2917646/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中