マジック・イン・ムーンライト

4月11日(土)公開予定 新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、シネリーブル池袋、品川プリンスシネマ

この恋にタネも仕掛けもありません

マジック・イン・ムーンライト

 ゾウ消失のマジックで一世を風靡する、中国人奇術師ウェイ・リン・スーことスタンリー・クロフォード。ベルリンで公演中の彼の元に、幼なじみのハワードがとある相談事を持ち込んでくる。共通の友人であるカトリッジ家にアメリカから来た若い女占い師が入り込み、降霊術で家の人たちから大金をせしめているというのだ。「そんなのインチキに決まっているじゃないか!」と言うスタンリーに、「だがどうしても仕掛けが見破れない。君に鑑定してほしいんだ」と答えるハワード。かくしてスタンリーはコートダジュールにあるカトリッジ家の別荘を訪ね、評判の占い師ソフィ・ベイカーと対決する。素性を隠して挨拶するスタンリーに、「あなたは東洋……、中国に関係する仕事をしてるわね?」と言ってドキリとさせるソフィ。こんなの偶然に決まっている。だが間もなく彼女はとても偶然とは思えない真実を言い当てて、スタンリーの人生と価値観を一変させるのだった。

 ウディ・アレンの新作は、1920年代のフランスを舞台にしたコメディ。凄腕のマジシャンが霊能力のトリックを暴こうとする話だが、この主人公には20世紀初頭の天才奇術師で「脱出王」の異名を持ったハリー・フーディーニが投影されているに違いない。フーディーニは降霊術への傾倒からやがて批判派に転じ、霊能者と称する人たちのトリックを次々に暴いていったことで知られている。ただし本作の主人公スタンリーはその反対。子供の頃から筋金入りの合理主義者で科学信奉者であった男が、女占い師との出会いで科学を超えた未知の世界があることを確信するようになるのだ。とは言えこれは、スピリチュアルな世界を扱った映画ではないし、奇術師についての物語でもない。これは世界中のありとあらゆる男と女に降りかかる、「恋の魔法」の物語なのだ。すべての事柄が合理的に解釈できると信じてきた主人公は、生まれて初めて不合理に出会い戸惑うことになる。

 映画の終盤まで観て気づいたのだが、この映画の骨組みは誰もが知る有名な映画を下敷きにしているようだ。合理主義者の主人公が、友人に挑発されて若い女と関わりを持つようになる。主人公は彼女を恋愛対象とは考えていないのだが、彼女の方は主人公に熱を上げる。しかし彼女に恋をするのは主人公ではなく、お金持ちの御曹司。彼女が自分から去ったとき、主人公はようやく自分自身の気持ちに気づくのであった……。さて、これは何でしょう? ふたつの映画に共通しているのは、最初から最後まで歌がたっぷりと盛り込まれていること。主人公が傲岸不遜なイギリス人だということ。ちなみにこの映画で主人公を演じたコリン・ファースは、数年前にその映画のリメイク版に出演するかもしれないと報じられたことがあった。でも今回この映画に出たということは、その話はもうなくなったと言うことなのだろう。ラストシーンを観て、ウディ・アレンのセンスに脱帽した。

(原題:Magic In The Moonlight)

松竹試写室にて
配給:ロングライド パブリシティ:ブレイントラスト、東宝アド、ほか
2014年|1時間38分|アメリカ、イギリス|カラー|シネマスコープ|5.1ch
公式HP: http://www.magicinmoonlight.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2870756/

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