神様はバリにいる

1月17日(土)公開 新宿バルト9ほか全国ロードショー

バリに実在する日本人大富豪の教えを映画化

神様はバリにいる

 照川祥子は事業の失敗で多額の負債を抱え、「もはや死ぬしかない」と思いつめた気持ちでバリ島までやって来た。だがそこで出会ったのは、下品で、ガサツで、傍若無人な振る舞いをする日本人中年男。周囲から「アニキ」と呼ばれているその男は、見かけからはまったく想像も付かない大富豪だった。祥子は「金儲けのコツを教える」というアニキに弟子入りすることになるが、アニキの言葉は抽象的な人生訓にしか聞こえない。アニキ曰く、「世間の常識を徹底的に疑って、他人に合わせてばかりのペンギンを脱出せなあかん。ペンギンかて羽根がある。その気になればそらを飛べるんや」。曰く「失敗したときこそ笑うんや。笑うてると疫病神も逃げて行きよる」。そこにやって来たのは、祥子を追いかけてきた自称婚約者(実態はストーカー)の杉田。彼に言われるまま祥子は日本に帰ろうとするが、アニキの仕事仲間リュウの話を聞いて、バリに残ることを決めるのだった。

 アニキのモデルになっているのは、バリ在住の日本人大富豪・丸尾孝俊。数年前にベストセラーになった自己啓発本「夢をかなえるゾウ」の主人公、ゾウの神様ガネーシャのモデルになっている人物と言えば思い当たる人も多いと思う。この映画の原作はクロイワ・ショウの「出稼げば大富豪」なのだが、映画のタイトルはなぜか『神様はバリにいる』になっている。これは「夢をかなえるゾウ」に出てくる神様は、じつはバリ島に実在したのです……という意味なのかもしれない。多少回りくどいのだが、わかる人にはわかるタイトルということか。映画は実際にバリ島にロケして、現地の美しい風景を取材しているのだが、残念なのはそこから人々の「生活」が見えてこないことだ。脚本は『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』(2014)の森ハヤシだが、現地取材を行なっている様子が見えない。ストーリー以外のエピソードが薄いのだ。

 映画で一番奇妙なのは、アニキが具体的にどんな仕事をしているのかがまるで見えないことだ。彼は巨大な企業グループを一代で築き上げたワンマンオーナー社長だから、自分の自由になる時間があってもいいし、事業そのものを部下に任せて自分は遊んでいても構わない。だが彼がいまだ引退せず何らかの事業をしている限り、その仕事に関わる人間は常に彼の周囲にいて彼と連絡を取り合っているはずだ。だが映画の中のアニキは仕事をしないし(レストランで商談が1件ダメになった描写はある)、周囲に仕事をしているらしい人間も見当たらない。彼が慈善のためにばらまいている金は、いったいどこから涌いてくるのだろうか? 彼の暮らしはどうなっている? これはアニキの仕事を手伝っていると称するリュウにも言えることだ。

 尾野真千子のコメディエンヌぶりが空回りしているのは残念だが、ナオト・インティライミの軽さが意外な拾い物。これが映画初出演かな?

TOHOシネマズ錦糸町(スクリーン5)にて
配給:ファントム・フィルム パブリシティ:ブラウニー
2014年|1時間47分|日本|カラー
公式HP: http://www.kamibali.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2368926/

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