龍三と七人の子分たち

4月25日(土)公開予定 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

伝説の老やくざたちが退屈しのぎに大暴れ

龍三と七人の子分たち

 高橋龍三、70歳。かつては羽振りのいいやくざだったが、とうの昔に組は解散。今は息子の家族と同居して、無駄に元気な余生を過ごしている。ところがその龍三が、オレオレ詐欺のターゲットになってしまった。詐欺グループの現金受取役は、龍三の勢いに怖じ気づいて逃げ出したことで一件落着。だが気づいてみればかつて仲間たちと切った張ったで守り抜いてきた自分たちの縄張りが、京浜連合を自称する暴走族上がりのチンピラ連中に好き放題に荒らされているではないか。龍三は昔の仲間たちを集めて新組織の一龍会を結成し、京浜連合にケンカを売ることにする。だが京浜連合のボスは、「うちはやくざじゃありませんから、やくざの皆さんはどうぞご勝手に」という態度。口ではそう言いながら、京浜連合だって一龍会を面白くは思っていない。同じ場所で似たような商売をやろうとすれば、衝突は避けられないのだ。やがて京浜連合が、一龍会に牙を剥くときが来た。

 北野武監督17本目の長編映画は、藤竜也主演のコメディ映画。とっくにやくざの世界を引退した老人たちが、退屈しのぎにまた暴れ出すというアイデアは面白い。不良老人たちが文字通り「俺たちに明日はない」とばかりに反社会的行為を行ったら……という話は、北野武がずいぶん前からテレビなどでもギャグとして語っていたものだと思う。ただしこのアイデアは既に映画化されているのだ。それは2004年に公開された『死に花』で、老人たちが銀行の金庫室を襲撃する話だった。『龍三と七人の子分たち』は、それに比べると物語の構成がずっとラフにできている。元やくざの老人たちが集まり、今風の犯罪グループと対決するという大まかなスジだけがあって、あとは小さなエピソードとギャグを詰め込んでいく。エピソード間に密接なつながりはなく、ドラマとしての大きなうねりもない。ストーリーはかなり強引で、しかも展開が気まぐれで、行き当たりばったりだ。

 面白い場面やエピソードも多いのだが、説明的なものが多いのであまり笑えない。もっとも今はこのぐらいわかりやすく説明しないと、特に若い観客にはおかしさが伝わらないという監督の判断があってのことかもしれない。少なくともほぼ満席の試写室内部ではほとんど笑い声が出ていなかったのだが、これが劇場にかかるとどうなるのかは気になるところだ。出演者では藤竜也と近藤正臣、下條アトムなど、北野映画初出演のベテラン勢がじつにいい感じだ。特に良かったのは近藤正臣。メンバーの中では一番の常識人のようでいて、じつは一番頭がおかしいという役を楽しそうに演じている。逆に残念だったのは小野寺昭。「この役を僕がやっていいんでしょうか?」という戸惑いや照れが、演技の端々から見えるようだった。

 コメディ映画としては笑えないのが欠点だが、これは北野武のコメディ映画ではいつものこと。これはこれで、北野監督らしい個性と言えるのだろう。

ワーナー・ブラザース映画試写室にて
配給:ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野 宣伝:アルシネテラン、ノーフューチャー
2015年|1時間51分|日本|カラー|シネマスコープ
公式HP: http://ryuzo7.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4176776/

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