赤浜 Rock’n Roll

5月2日(土)公開予定 新宿K’s cinema

被災地で生きる男たちが格好よすぎる!

赤浜 Rock'n Roll

 岩手県大槌町は、東日本大震災後の大津波で大きな被害を出した。入り組んだリアス式海岸は、湾内の津波の高さを押し上げる。大槌町では最高22mの津波が、家も、人も、船も、容赦なく飲み込み押し流してしまった。漁業で生計を立てる人が多い赤浜地区も、この津波で大きな被害を受ける。波は6.4mの防波堤を簡単に乗り越えて、人々の暮らしを蹂躙して行った。震災後、生き残った人たちは海抜15〜18mの高台への移転を決める。ところが県はこれと同時並行で、海岸線に高さ14.5mの巨大な防波堤を作る計画を立てた。これには住民から異論が噴出する。「誰も住んでいない場所を守るのに、そんな防波堤が必要なの?」「高い防波堤で海が見えなくなりゃ漁師の仕事はできねえ」など、どれももっともな意見。一方人々には日々の暮らしもある。津波で壊滅的な被害を受けた漁師たちも、少しずつだが豊かな海の恵みと寄り添う暮らしに戻りつつあった……。

 製作・監督は、これまでプロデューサーとして何本ものドキュメンタリー映画製作に携わってきた小西晴子。本人にとってはこれが初監督作だという。1時間半の映画には、震災後の大槌町赤浜の抱えるさまざまな問題が詰め込まれているのだが、大きく取り上げられているのはそのうちの2つだ。ひとつは漁業の再建にどう取り組むかという、漁業関係者たちの奮闘ぶり。もうひとつは防災名目で建設が予定される巨大堤防に、地域の人たちがなぜ異議を唱えているのかという理由だ。映画全体での物事の順序から言うと、これは巨大堤防建設反対という視点が中心課題あって、そうした意見を支える地元の人々の暮らしを紹介する意味で漁業者の姿が織り込まれているのだろう。映画には地域の湧水について研究している学者なども出てきて、巨大堤防の建設が湧水に何らかの影響を与えるのではないかと述べている。ポジションとしては漁業者もこの学者と同じような位置づけだ。

 ところが厄介なことに、ここに登場する漁業者があまりにも魅力的なのだ。堤防云々という話も確かに大事だ。だがそれよりも、いま海で働いている男たちが格好いい。「漁師の仕事は自分の身体動かしてナンボでしょ。稼ぎは海から取ってくるもんでしょ。補助金の世話にもなってるからそれを全部悪く言うわけじゃないけど、補助金に頼る漁師ではダメだと思う」とサラリと言ってのける若手漁師(といっても40歳だが)に誰もが好感を持ってしまうのではないだろうか。彼は弟と一緒の船に乗り込んで天然の海産物を獲り、自分たちで工夫しながらワカメやコンブやカキやホヤなどの養殖に励んでいる。彼は(生き方や態度が)じつに男前である。その魅力の前に、他の事柄がずいぶんと霞んでしまう。震災で亡くなった孫や妻のためにもがんばりたいと語る堤防反対派の男性も格好いいのだが、本来脇役の独りであるべき漁師が場を全部さらってしまうのを止められなかった。

京橋テアトル試写室にて
配給・宣伝:太秦
2014年|1時間30分|日本|カラー|BD
公式HP: http://u-picc.com/akahama_rocknroll/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3914422/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中