パイレーツ

2015年初夏公開予定 TOHOシネマズ新宿

クジラに呑まれたお宝を取り戻せ!

パイレーツ

 西暦1388年。イ・ソンゲ(李成桂)将軍の軍事クーデターで高麗王朝は倒され、新たにイ将軍が初代国王となった新王朝が樹立した。宗主国である明の国王は李王朝に「朝鮮」という国号と国璽(こくじ/国の印章)を与えるが、派遣された役人はそれを王に届ける前に紛失してしまう。船がクジラと衝突沈没し、大切な国璽がクジラに呑まれたのだ。これをありのまま報告しても、国王はそれを信じてくれるだろうか? 役人は「国璽が海賊に奪われた」と偽り、海賊討伐軍を使ってクジラを捕獲しようとする。だがクジラが相手となると、海上での動きに長けた海賊たちの手助けが不可欠となる。討伐軍の指揮官モ・フンガプは、女海賊ヨウォルを脅かしてクジラ捕獲に協力させる。同じ頃、軍を脱走して貧乏な山賊稼業に身を落としたチャン・サジョンも、クジラが国璽を飲み込んだという話を聞きつけた。彼は仲間たちと一緒に一攫千金のクジラ獲りに挑むことを決意する。

 2014年の韓国映画興行ランキングで、第2位の興行成績を収めた大ヒット作。李氏朝鮮建国時に10年ほど国璽が使われていなかったのは史実にあるそうだが、あとは全部フィクション。狙いは韓国版の『パイレーツ・オブ・カリビアン』だろう。本家『パイレーツ・オブ・カリビアン』が多少の史実を含んでいるのと同じ程度には、この映画も史実を含んでいると言えるのかもしれない。監督は『ダンシング・クイーン』(2012)のイ・ソクフンで、主演はキム・ナムギルとソン・イェジン。脇役にも韓国映画や韓流ドラマのファンなら「この人知ってる!」という中堅クラスの俳優がぞろぞろ出てくる。映画の方向性はアクション・スペクタクルにコメディ要素をからめたもので、このあたりも含めて『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの影響は大きいのだろう。キム・ナムギルが演じるお調子者だが腕の立つ山賊の頭は、韓国版ジャック・スパロウめいた人物だ。

 個々のシーンは面白いところもあるのだが、全体としては物語の構成も人物の出し入れもゴチャゴチャしていて未整理な部分が多すぎる。物語は「国璽を巡って海賊たちと水軍が争い、そこになぜか山賊が加勢する」という単純なものなのだが、各勢力の動向が一直線に進まず、意味もなく右往左往してしまうのだ。これではドラマの力強さが削がれてしまう。しかしこうしたゴチャゴチャや右往左往によって、猥雑だがエネルギッシュなお祭り気分が盛り上がっていく。祭りの神輿は真っ直ぐ整然と進んだのでは面白くない。あっちに進み、こっちに進み、動いたり、止まったりしながら、ワッショイワッショイ、少しずつ進んで行くところで熱気が高まっていくのだ。無駄なシーンもあれば、不要なエピソードも多い。伏線のようにまき散らした小ネタが、回収されずに終わっている部分も多々ある。だがそれらを全部ひっくるめて、この映画の賑やかさと花やかさが生まれている。

(原題:해적: 바다로 간 산적)

シネマート六本木(スクリーン3)にて
配給:ツイン 宣伝:アルシネテラン
2014年|2時間9分|韓国|カラー
公式HP: http://www.pirates-movie.info/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3485166/

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