フォーカス

5月1日(金)公開予定 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

凄腕の詐欺師が最後に盗もうとしたものは?

フォーカス

 ホテルの高級レストランでひとり食事を楽しんでいたニッキーは、たまたま知り合った宿泊客のジェスと意気投合して彼女の部屋に招かれる。だがそこに「オレの女房に何をしやがる!」と飛び込んできた男がいた。古典的な美人局(つつもたせ)の手口だ。だがニッキーは彼らを相手にすることなく、颯爽と部屋を立ち去っていく。じつはニッキーの正体は凄腕の詐欺師。彼女が声をかけてくる前から彼女の正体と目的に気づいていたのだ。ニッキーはジェスの目の前で持ち前のスリの腕前を披露しながら、詐欺の基本をレクチャーする。「人間は同時に2つのことを考えられない。だから相手の視点(フォーカス)を奪うんだ。そうすれば何でも盗むことができる」。数ヶ月後のニューオリンズ。スーパーボウル開催でごった返す街は、スリや詐欺師にとっては絶好の狩り場だ。ニッキーは仲間たちと新しい仕事に取りかかる。その中には彼に弟子入りしたジェスの姿もあった……。

 ウィル・スミスが凄腕の詐欺師を演じる犯罪コメディで、ヒロインを演じたのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)でディカプリオの妻を演じていたマーゴット・ロビー。『ウルフ・オブ〜』の時にはあまり気づかなかったのだが、この女優は少女のようなあどけなさと妖艶な大人の女の両面を使い分けられる魅力がある。今後は一気に売れっ子になるのではないだろうか。監督・脚本はグレン・フィカーラとジョン・レクアのコンビ。1時間45分の映画を、ちょうど真ん中で二等分する構成がユニークだ。前半はニッキーとジェスの出会いから、ニューオリンズでのハラハラするような大勝負を経て、ふたりが一度別れるまでを描く。後半はブエノスアイレスでニッキーが仕組むF1レースを巡る巨額の詐欺計画に、偶然再会したニッキーとジェスの恋の駆け引きが並走して行く。前半のスピード感が後半でペースダウンする気もするが、全体に面白い映画だった。

 詐欺師を主役にした映画には『スティング』(1973)という破格の大傑作があるのだが、他の映画にもあまり大きなハズレがない。しかし詐欺映画はおよそありとあらゆることがやりつくされていて、新味を出しにくいという難点もある。そこそこ面白いものは作れても、結局詐欺テクニックの集大成である『スティング』は超えられないのだ。『フォーカス』の面白さは詐欺映画の新しい味付けとして、スリや置き引きなどの手作業を大きく扱っているところにある。これらの手わざは詐欺とはまた別の技能を要する犯罪なので、詐欺の話とのうまく噛み合って馴染んでいないというのが映画の弱点。しかし主人公たちがニューオリンズで好き放題の荒稼ぎをする場面は観ていて面白く、この映画の中の大きな見せ場になっている。天才スリ師として有名なアポロ・ロビンスを顧問に招いているそうだが、この映画はロビンス流の華麗なスリテクニックの集大成になっているのだ。

(原題:Focus)

ワーナー・ブラザース映画試写室にて
配給:ワーナー・ブラザース映画 宣伝:アルシネテラン、アンリミテッド
2015年|1時間45分|アメリカ|カラー|1.85:1|ドルビーデジタル
公式HP: http://wwws.warnerbros.co.jp/focus/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2381941/

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