国際市場で逢いましょう

5月16日(土)公開予定 ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿

感動的な韓国版『フォレスト・ガンプ』

国際市場で逢いましょう

 1950年12月。中国軍の参戦で興南(現在の北朝鮮東部にある港湾都市)の波止場に追い詰められた人々は、アメリカ軍艦船に救出されて九死に一生を得た。だがパニック状態になった人々にもみくちゃにされる中で、ドクスは幼い妹とはぐれ、妹を探すため船から降りた父親とも離れ離れになってしまう。残ったのはドクスと母、弟、そしてまだ乳飲み子だった妹だ。一家は釜山の国際市場にある叔母の家に身を寄せるが、父親不在の生活は苦しいものだった。3年後に戦争は終わるが、ドクスたちの故郷は38度線の向こう側となった。帰るべき故郷を失った一家は、釜山に根を下ろして暮らすことを決意する。それから10年。勉強しながら肉体労働で稼いで家族の生活を支えていたドクスは、名門ソウル大学に合格した弟の学費を工面するためドイツの炭鉱に出稼ぎに行くことを決めた。危険の伴う過酷な重労働の日々。だがドクスはそこで運命的な出会いをするのだった。

 ひとりの主人公の人生を通して韓国の現代史を綴っていく、韓国版の『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994)みたいな作品。英題の『Ode to My Father』は「父に捧げる歌」みたいな意味だが、この「父」というのは主人公ドクスにとっての父親であり、この映画を作ったり観たりしている世代にとっての父親でもある。監督は『TSUNAMI ツナミ』(2009)のユン・ジェギュンだが、彼は1969年生まれ。主人公ドクスはちょうど監督の父親に当たる世代なのだ。僕も監督とほとんど同世代で(僕は1966年生まれ)、両親がドクスと同世代なので、この映画を観ていてついつい自分の両親のことを考えてしまった。日本の場合は朝鮮戦争の特需で大儲けして戦後復興を軌道に乗せ、主人公がドイツやベトナムに出稼ぎに行く時期に高度経済成長で我が世の春を謳歌していたのだから状況がだいぶ違うのだが、相通じるところも多々あるのだ。

 ドクスを演じるのはファン・ジョンミン。妻ヨンジャを演じるのはキム・ユンジン。親友ダルグを演じるオ・ダルスも含めて、全員が脂の乗りきった40歳代の俳優たちだ。子供時代を除いて、彼らが20歳代から70歳代までを通して演じている。驚いたのは20代の時の映像だ。デジタル技術で皮膚のたるみやシワなどを修正して、20歳代のピカピカの肌つやになっている。担当したのは日本のフォートン社。同社のWEBサイトには、この映画でどのような画像がどう修正されたのかを解説した動画がある。特殊メイクなしで演技させてからデジタルレタッチで若返らせる技術は、今後テレビドラマや映画で多用されると思う。なお年をとってからのシーンは、通常の特殊メイクを施した上でデジタルで微調整したのだという。

 随所で涙腺が刺激されるのだが、一番泣けたのは終盤で離散家族を探す場面。日本でも中国残留孤児探しで、同じような場面があったからねぇ……。

(原題:국제시장 Ode to My Father)

東映第1試写室にて
配給:CJ Entertainment Japan パブリシティ:中目黒製作所、ほか
2014年|2時間7分|韓国|カラー|シネスコ|5.1chデジタル
公式HP: http://kokusaiichiba.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3812366/

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