アプルス 天空の交響曲(シンフォニー)

4月18日(土)公開予定 シネスイッチ銀座ほか

高性能カメラがとらえたアルプスの素顔

アルプス 天空の交響曲

 ヨーロッパ大陸を東西に横切るアルプス山脈は、今から数千万年前にアフリカ大陸とユーラシア大陸が衝突したことで生まれた。途方もない圧力によって行き場を失った両大陸の岩盤は、圧し潰され、引き裂かれ、めくれ上がり、少しずつ押し上げられて、ついには4千メートルを超える大山脈を形成するに至った。このためアルプスには複雑な地形と、それによって生じるさまざまな気候風土や自然、それらに根ざした人々の暮らしが生まれた。この映画は航空撮影用のシネフレックスカメラを使用して、アルプスの山々とその懐に抱かれて暮らす人々の姿を撮影したドキュメンタリー映画。四季折々のアルプスの風景。そこでは冬になれば世界中からウィンタースポーツを楽しむ観光客が集まり、夏になれば富裕層が避暑地のバカンスを楽しんでいる。登山者たちはより困難なルートを征服すべく岩山や氷壁をよじ登る。だがアルプスの姿は今もなお、刻々と変化し続けているのだ。

 ドキュメンタリー映画は数々あれど、最初から最後まで空撮だけで構成されているという映画は珍しい。滑らかで流麗なカメラワークを可能にしたのが、軍事偵察用に開発されたシネフレックスカメラ。これはヘリコプターに取り付け、まったくブレのない高解像度の映像を撮影することができる。映画には被写体から十数メートルの近距離で撮影したように見える映像がたくさん出てくるが、これらは高倍率の望遠レンズで撮影されているようだ。ただし最近は高性能のラジコンヘリと小型のデジタルムービーカメラが開発されて、空撮もずいぶんお手軽なものになっている。この映画の映像はそれらとは段違いのクオリティなのだが、やがてこれらもラジコンヘリを利用して撮影できるようになるに違いない。映画の中には小型のビデオカメラを利用した映像も混じっているが、ほとんどの観客は画像の精細度でシネフレックスカメラの映像と大きな落差を感じることがないと思う。

 どの映像も素晴らしく美しいとは思うのだが、それでワクワクするような映画に仕上がっているかというと必ずしもそうはなっていない。「空撮だけで構成する」というコンセプトはわかるのだが、そればかりだとやはり飽きてしまうのだ。人間は同じような刺激が続くとそれに麻痺してしまう。1時間半の映画だが、僕は最初の20分ぐらいでもう眠くなりはじめて所々でウトウトしてしまった。これは僕の体調が悪かったのか? いや、そうとも言えない。僕は今回の試写で列の一番右端の席に座っていたのだが、映画の中盤で横を見たら、すぐ隣の席から向こうの端まで、一列全員が目をつぶって寝ているように見えた。

 先日亡くなった坂東三津五郎はかつてNHKの日本舞踊解説番組で、「踊りを見ていて気持ちよくなって眠くなることはある」と言っていた。この映画もその類の眠さなのかもしれない。個々の映像はどれも、緻密に描き込まれた風景画のように美しいのだ。

(原題:Die Alpen – Unsere Berge von Oben)

京橋テアトル試写室にて
配給:アルバトロス・フィルム 宣伝:テレザとサニー
2013年|1時間33分|ドイツ|カラー|ビスタサイズ|デジタル5.1ch
公式HP: http://alps-tenkuu.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3119298/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中