夫婦フーフー日記

5月30日(土)公開予定 新宿ピカデリーほか

実話ブログ原作の難病ラブコメディ

夫婦フーフー日記

 大学生だった二十歳の頃に出会ったコウタとユーコは、その後の17年間を「友達以上・恋人未満」ならぬ「純粋な友達」として過ごす。作家志望のコウタは雑誌の懸賞に応募しては落選し続け、そのたびにユーコから「とにかく書き続けろ!」と励まされ続ける。そんな関係だった。だがユーコが「見合いするかも」と打ち明けたとき、コウタの中で何かがはじけた。「オレは彼女と結婚しなければならない!」と決意したのだ。だがそれから1年数ヶ月後、ユーコはこの世を去っていた。結婚してすぐに妊娠したが、その直後にガンが見つかったのだ。放射線治療、抗ガン剤投与、手術……。だが治療のかいなく、ユーコは生まれたばかりの子供を残して世を去った。しかし不思議なのだ。コウタの目には、死んだはずのユーコがまだ目の前に見えている。しかも生きているかのように、生々しくリアルにだ。これは幽霊? それとも自分の弱った心が生み出した幻影なのだろうか?

 2011年に川崎フーフの名義で出版された「がんフーフー日記」の映画化だ。もともとはライターの清水浩司が妻・睦の病気をきっかけに開設したブログだが、妻の死後にそれが書籍化され、翌年にはNHKでドラマ化、さらに今回の映画となった。NHKドラマ版「ヨメとダンナの493日~おもろい夫婦の『がんフーフー日記』」はドキュメンタリードラマだったので、夫婦は実名で登場するし当事者たちのインタビューなども挿入されている。ちなみに主演は岡田義徳と野波真穂。映画版は主演が佐々木蔵之介と永作博美に変わっただけでなく、夫婦の名前も変えたし「死んだ妻の姿が見える」という新しい設定を導入している。これによって実際の「がんフーフー日記」を前提としながらも、このブログを公開し続け本にしようと情熱を燃やす夫の心の中に、より深く踏み込んでいく内容になっている。映画にするならこの程度の脚色は必要だろう。だがこれは成功だったか?

 この映画の面白さは「死んだはずの妻が見える」という部分にある。それは幽霊ではなく自分自身の心が生み出した幻影だと説明されているが、幻影と呼ぶにしてはあまりにもリアルで生々しい。なにしろ普通に会話できるだけではなく、抱きしめたりすることだってできちゃうのだ。この設定を使って時間を自由自在に行き来させ、夫婦の過去の歴史や現在に至るエピソード、ブログに書かれた嘘や、ブログに書けなかった真実などを語らせるのはいいアイデアだった。しかしこのアイデアはその「機能性」が便利に使われているだけで、そこから新しいドラマが派生するような膨らみには欠けている。この映画の中でドラマらしいドラマはすべて過去に起きたことであり、今現在の夫と妻の幻影の間にはドラマが発生しない。このあたりは原作に遠慮したのかもしれないが、そんなことお構いなしにどんどん物語を作ってしまってもいい。もっと面白い映画になりそうなのに残念だ。

ショウゲート試写室にて
配給:ショウゲート 宣伝:スキップ、ほか
2014年|1時間37分|日本|カラー|ビスタ|5.1chサラウンド
公式HP: http://fu-fu-nikki.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3783274/

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