デュラン・デュラン:アンステージド

4月17日(金)公開予定 TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー

デヴィッド・リンチがやっちまった!

デュラン・デュラン:アンステージド

 2011年3月23日。ロサンゼルスのダウンタウンにあるマヤ・シアターで、イギリスの人気バンド、デュラン・デュランのコンサートが行われた。楽曲は前年発表された「オール・ユー・ニード・イズ・ナウ」からのものが中心。これはアメリカン・エキスプレス社がスポンサーになった「アンステージド」というイベントで、コンサートの様子はVEVOやYouTubeを通じて世界中に中継されたのだ。このイベントは単なるコンサートの中継ではない。ライブ映像のディレクションを、一流の映画監督たちが手掛けるというのが売りだ。過去のライブではテリー・ギリアムやスパイク・リーなども参加している。そしてこの4回目に登場するのは、奇才デヴィッド・リンチ。映画だけでなく、絵画や写真、そして音楽にも造詣の深いこのカルト監督が、デュラン・デュランという最高の素材を与えられて、一度観たら決して忘れることのできないステージ映像を生み出した。

 家でテレビを見ていると、その前に家族が立ちふさがって邪魔になることがある。本人には邪魔する目的はなく、たまたま何かの都合でそこに立っただけなのだろう。だから「見えないからちょっとどいて」と言えばどいてくれる。あとはソファーにくつろぎながら、ゆっくりとテレビの続きを見ればいい。だがこの映画『デュラン・デュラン:アンステージド』は、最初から最後までテレビの前で画面をさえぎる人がどいてくれないような状態だ。ライブ映像はほとんどが脱色され、他の映像と重ね合わされる。しかもそれは楽曲と関係のある映像ではなく、まったく無関係の映像だ。コンサート映像はモノクロだが、無関係の映像はカラーだったりする。じつにうっとうしい。しかもそれらは時にコンサート映像そのものを追い出して、自分が主役になりたがる。約2時間の間、チラチラ、ヒラヒラ、余計な映像がコンサートの画面にベッタリと貼り付いて離れない。なんだこれは?

 これに似た映画を以前観たことがある。アメリカ実験映画界の巨匠と呼ばれる、スタン・ブラッケージの作品だ。代表作は1960年代に製作された『ドッグ・スター・マン』(1961-64)だろうか。フィルムの上にさまざまなイメージの断片をコラージュし、台詞も音もないまま映像だけを積み重ねていく。出来上がった世界には独特の緊張感と美意識があった。デヴィッド・リンチはそうしたアヴァンギャルド映画の技法を、コンサート映画と無理矢理にドッキングさせる。コマーシャリズムと純粋アートの融合だ。しかし僕には、これが成功しているとは思えない。コンサート映画を期待している人にとってアヴァンギャルドは邪魔だろうし、アヴァンギャルド映画としてはデュラン・デュランの映像が自己主張しすぎている。水と油を無理矢理混ぜても、やがては分離してしまう。リンチはふたつの混合液をかき混ぜ続けているが、こんなものは永久に混ざらないのだよ。

(原題:Duran Duran: Unstaged)

シネマート六本木(スクリーン2)にて
配給:ツイン 宣伝:ビーズインターナショナル
2011年|1時間51分|アメリカ|カラー|デジタル
公式HP: http://www.duranduran.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2133214/

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