映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)

3月7日(土)公開 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

ドラえもん版『サボテン・ブラザース』

映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記

 ヒーローたちが宇宙の平和を守るテレビ番組に憧れて、のび太たちも自分たちが出演するヒーロー映画を作り始める。ドラえもんのひみつ道具、バーガー監督があれば、本物そっくりのリアルな場面が作れるのだ。バーガー監督の作るバーチャルイメージ技術のおかげで、のび太たちはスーパーパワーで敵をやっつけるヒーローに大変身だ。だがこの様子を、地球に不時着していたポックル星人のアロンが見ていた。アロンの故郷ポックル星は少し前から大規模な開発が行われているが、彼はそれを計画して指揮している業者たちの正体が宇宙海賊であることを知って殺されかけたのだ。アロンはのび太たちを本物のヒーローと勘違いして協力を要請し、のび太たちはアロンの登場をバーガー監督の作り出した映画のシナリオだと勘違いする。こうして双方が勘違いしたまま、のび太たちはポックル星へ到着。宇宙海賊に攻撃された時にようやく、自分たちの勘違いに気づくのだが……。

 映画ファンならこのストーリーが、『サボテン・ブラザース』(1986)を下敷きにしていることに気づくはずだ。『サボテン・ブラザース』は映画スタジオをクビになった俳優たちが、映画出演依頼と勘違いしてメキシコの村に向かう物語だ。野盗に襲われる村の人々がガンマンを雇う話は黒澤明の時代劇『七人の侍』(1954)を西部劇にリメイクした『荒野の七人』(1960)から引用しているのだが、この映画はそれ自体が祖型となって『バグズ・ライフ』(1998)を生み出してもいる。しかしそれらの後継作品である『のび太の宇宙英雄記』は、『サボテン・ブラザース』にも『バグズ・ライフ』にも遠く及ばない低調な作品だった。普通に『サボテン・ブラザース』をコピーすれば百倍面白い映画になったと思うのだが、この映画は『サボテン・ブラザース』の劣化コピーだ。「ドラえもん」作品としても、レギュラーメンバーたちの個性がまるで生きていない。

 僕自身は劇場版ドラえもんをさほど熱心に観ていないが、今回の映画はこれまで観た何本かの中でもひときわ出来の悪い作品だった。例えばスネ夫が「ぼくたちは普通の子供でヒーローじゃないんだよ!」と泣き言を言う場面では、「こいつは何を言っているのだ?」と我が目と耳を疑ってしまう。のび太や仲間たちは、これまで映画の中で何度も地球の危機や世界の危機を救っているではないか。もちろん映画シリーズは相互の関連性を無視して成立しているので、この映画の中で彼らの過去の活躍が「なかったこと」にされたって構わない。しかし映画を観ている人なら、のび太も、ジャイアンも、スネ夫も、しずかちゃんも、「普通の子供ではないヒーロー」であることを知っている。個々の映画でオリジナルのアイデアやストーリーがつまらないのは、ある程度仕方ない面もあるだろう。でも「ドラえもん」の世界を生きるキャラクターたちは、もっと大事にしてほしいと思う。

TOHOシネマズ錦糸町(スクリーン4)にて
配給:東宝
2015年|1時間41分|日本|カラー
公式HP: http://doraeiga.com/2015/
IMDb:

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