KITE カイト

4月11日(土)公開予定 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

復讐のためギャング組織に戦いを挑む少女

KITE カイト

 今からそれほど遠くない未来。金融危機で世界秩序は崩壊し、ギャングたちが無法の限りを尽くすようになっていた。犯罪組織の資金源になっていたのは麻薬と生きた人間だが、弱体化した警察はギャングたちにうかつに手が出せない。しかしそんな犯罪者たちに、果敢に立ち向かう者たちもいる。サワは幼い頃に両親をギャングに殺され、復讐のため無謀とも思える戦いを挑むことを心に決めた。死んだ父の友人で警官でもあるアカイから武器と情報を手に入れて、少しずつギャングのボスに接近するサワ。しかし危険と隣り合わせの日々は彼女の神経をすり減らせ、それを慰撫する精神安定剤「アンプ」は少しずつ過去の記憶を曖昧にしていく。殺された両親の仇を討つためギャングと戦っているのに、サワの記憶からは既に両親の面影が消えている。このままでは自分が何者かすら忘れてしまいそうだ。記憶が曖昧になっても残るもの。それは彼女の中にある復讐への衝動だけだ。

 1998年にOVAとして発売された日本の18禁アニメを、南アフリカで実写映画化したクライム・アクション映画。監督のラルフ・ジマンは南アフリカの映画監督で、監督4作目の本作が日本初公開。撮影も南アフリカで行われている。ただし出演者はハリウッドのキャスティング。主人公のサワ(砂羽)を演じているのは、オリヴィア・ハッセーの娘インディア・アイズリー。アカイ(赤井)を演じるのはサミュエル・L・ジャクソン。サワの前に現れる謎の少年オブリ(音不利)役は、オーストラリア出身でディカプリオの『華麗なるギャツビー』(2012)にも出演していたカラン・マッコーリフ。原作アニメは海外でもカルト的な人気があるそうだが、実写版でこうして主人公たちの名前までオリジナルを踏襲しているのは、作り手の側に原作へのリスペクトがあるからだろう。ただし原作アニメにあったエロチックな要素は、今回の実写版からは完全に消え失せている。

 日本アニメの実写化作品ということで興味を持つ人は多いと思うが、原作アニメを観ないままこれ単独の作品として評価した場合、どの描写も中途半端な低予算のアクション映画にしか見えないと思う。冒頭にあるエレベーター内での殺しや中判にあるトイレ内でのアクションシーンなど、原作アニメからそのまま実写に置き換えられたというアクションシーンには面白いものもある。しかしアクション映画はアクション描写がインフレーションしていくことが求められているにもかかわらず、映画終盤に大きな仕掛けがなかったのは物足りない。主人公が記憶障害で身の回りのごく狭い範囲のことしか認識できないという設定もあり、最初から最後まで全体が見えにくい。小さなピンスポットライトが主人公とその周囲のごく狭い範囲だけに光を当て、ついに舞台全体が見えないまま幕が下りてしまったような映画なのだ。もっと大きな世界を見せられる映画だと思うのだがなあ……。

アスミック・エース試写室にて
配給:アスミック・エース
2014年|1時間30分|南アフリカ、メキシコ|カラー|スコープサイズ|ドルビー・デジタル
公式HP: http://kite.asmik-ace.co.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2044801/

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