THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦

5月1日(金)公開予定 新宿ピカデリーほか

十数年を経て東京は再び戦場になった

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦

 慰安旅行で東京を離れていた警視庁特車二課に、「東京が大変なことになっている」という知らせが届く。レインボーブリッジが何者かに攻撃されて大破したのだ。事前に爆破予告があって通行止めになっていたため、奇跡的に死傷者はゼロ。しかし偶然撮影されていた現場の映像から、これが特殊な軍用ヘリからのミサイル攻撃であることがわかった。数日前に自衛隊演習場から、パイロットごと行方不明になった最新鋭ヘリコプター「グレイゴースト」。高い運動性能を誇り、機関砲とミサイルで武装した上に、熱工学迷彩で周囲に溶け込み消えてしまう「見えないヘリコプター」だ。操縦しているのは消えたパイロットに間違いない。だがヘリを飛ばすにはそれを支援する兵站部隊がいるはずで、単独犯ではあり得ない。特車二課の後藤田警部補は公安部の高畑警部と協力しつつヘリの行方を追う。やがて浮かび上がってきたのは、10数年前に起きたクーデター未遂事件だった。

 2014年からメディアミックス展開されている、実写版パトレイバー『THE NEXT GENERATION パトレイバー』の劇場長編映画版。監督・脚本は押井守で、CGも使いながら実景の東京の中に局地的な戦争状態を作り出している。内容的には1993年に公開された『機動警察パトレイバー 2 the Movie』を継承していて、登場している人物や道具立ては変わっても、ある種のリメイクみたいなものだ。1993年の時点では「近未来」の出来事として描かれたパトレイバーの世界だが、現実の時間がそれを追い抜いたことで、この映画は「レイバーが存在するもうひとつの日本」を描くことになった。この映画を観ていると、アニメと実写の演出の違いを感じずにはいられない。おそらく同じことをアニメでやればかっこよく決まるであろうシーンの数々が、ことごとく退屈なものになっている。アニメ特有の「記号化された表現」が鼻につくのだ。

 例えば後藤田と南雲がフェンス越しに会話をする場面や、グレイゴーストの女性パイロットが攻撃前にニヤリと笑うシーン。キャラクターが繰り出すギャグもアニメならアクセントになるだろうが、実写でやられるとだいぶ白々しい。リアリティを追究する物語であるにも関わらず、テログループとの戦闘で死傷者がほとんど出ないのも不自然だ。おそらく画面に入らない部分でかなり大勢が被害を受けているはずなのだが、それを物語から排除することで、戦争の持つ「血なまぐささ」まで消えてしまった。新宿の高層ビル群の中で戦闘ヘリ同士が戦うというのは、絵柄としては面白い。でもそこには日常から遊離した、シミュレーションとしての戦争しか見えない。20年以上前に製作された『機動警察パトレイバー 2 the Movie』の完成度の高さに比べると、今回の映画は大味でスカスカなものに思えてならない。これはデキの悪い、パトレイバーのエピゴーネンだ。

松竹試写室にて
配給:松竹 宣伝:スキップ
2015年|1時間34分|日本|カラー|シネスコ|ドルビーアトモス 5.1ch
公式HP: http://patlabor-nextgeneration.com/movie/
IMDb:

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中