ピッチ・パーフェクト

5月29日(金)公開予定 TOHOシネマズ六本木ヒルズほか

寄せ集めチームで大学アカペラ王者を目指せ!

ピッチ・パーフェクト

 DJになることが夢のベッカは、気の進まぬまま父の勤めるバーデン大学に入学。しかし父から「今後1年間は学生生活を楽しむ努力をしろ。1年後に大学を辞めたければ応援する」と言われ、学内の女性アカペラチーム「バーデン・ベラーズ」に加入することに決めた。音楽に詳しいベッカの目から見ると、リーダーのオーブリーは選曲もアレンジも保守的で、チームの方針を決める際も独裁的に振る舞うことが多い。しかし個性的な他のメンバーと歌うことは楽しく、バイト仲間で校内のライバルグループ「トレブルメーカーズ」に所属するジェシーともちょっといい雰囲気になってきた。バーデン・ベラーズは地区予選をなんとか突破するが、大会後にトレブルメーカーズが起こした乱闘騒ぎに巻き込まれベッカは警察へ。だがこの事件をきっかけにして、彼女とジェシーの関係が冷え込んでしまう。その後の地区大会で、バーデン・ベラーズは全国行きの切符を逃してしまった。

 アメリカでは2012年秋に公開されている映画だ。日本では未公開のままDVDリリースされるわけでもなく、3年たってようやく劇場公開されることになった。アメリカでは今年5月にパート2が公開され、日本でも既にこのパート2の公開が決定済み。今回はそれに合わせて1作目が公開されるのだろう。アカペラについて僕はゴスペラーズやハモネプ程度の認識しかなかったのだが、この映画のアカペラはすごくレベルが高い。アメリカでは「The Sing-Off」というアカペラ・コンテスト番組も放送されているし、前提となるベーシックな技術レベルがそもそも高いのだ。きれいにハモれるのはもちろんだが、全体の振り付けや演出は当然として、個人個人の技能が桁違いに高い。この映画には映画的誇張も当然あるのだが、YouTubeで「College A Cappella」などと検索すれば、大学アカペラ業界(?)のレベルの高さがわかると思う。

 原作は大学生によるアカペラ選手権を取材したノンフィクションだが、映画はオリジナルストーリーだろう。どこにも居場所がなく、将来を夢見ながら現実には何者でもないヒロインが、アカペラサークルの中に自分の居場所を見つける物語になっている。親との確執があり、友情があり、恋があり、ライバルとの戦いがあり、最後はハッピーエンド。普遍的な青春映画のルーティンをきちんと踏襲しているのだ。主演のアナ・ケンドリック以外はあまり見たことのない出演者ばかりだが、こうした映画を踏み台にしてみんなスターになっていくのだろう。僕自身はミュージカル映画が大好物なので、この映画も楽しんで観ることができた。ミュージカルは「突然歌ったり踊ったりするのがオカシイ!」と敬遠する人も多いが、この映画はアカペラだから伴奏なしでみんな歌って当然の世界。「ハモネプ」ブームも一区切りした感はあるが、この映画でアカペラ人気がまた再燃するかも。

(原題:Pitch Perfect)

京橋テアトル試写室にて
配給:武蔵野エンタテインメント 宣伝:CAMDEN パブリシティ:フリーマン・オフィス
2012年|1時間52分|アメリカ|カラー|ビスタ|ドルビーデジタル
公式HP: http://pitch-perfect.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt1981677/

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