シンデレラ(日本語吹替版)

4月25日(土)公開 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

ミュージカルにしてほしかったなぁ……

シンデレラ

 むかしむかしあるところに、エラという少女がおりました。父は裕福な商人で、エラも素直で美しい娘に成長します。しかし美しく聡明な母が病気で亡くなり、傷心の父が子持ちの女性と再婚したことからエラの不幸が始まるのです。父は商用の旅先で亡くなり、継母は奉公人全員に暇を出して娘たちと共にエラを女中のようにこき使いはじめます。付けられたあだ名はシンデレラ(灰だらけのエラ)。エラは継母たちから逃れるように馬を飛ばし、森の中で「キット」と名乗るひとりの青年に出会いました。互いに一目で好意を持つエラと青年。しかし青年の正体は王国の皇太子。父の命令で早急にお妃を迎えねばならない身の彼は、森で出会った娘に再び会うため、舞踏会に国中の娘を招待することにしました。しかし継母はエラが舞踏会に出るのを禁じて、自分たちだけで王宮に向かいます。置き去りにされたエラ。しかしその前に、フェアリー・ゴッドマザーが現れたのでした。

 1950年に製作されたディズニー・アニメの古典的名作『シンデレラ』を、ケネス・ブラナー監督がリリー・ジェームズ主演で実写映画化した。民話の「シンデレラ」にはさまざまなバリエーションがあるのだが、今回の映画はアニメ版『シンデレラ』の実写化だと言うだけあって全体の筋立てから演出までアニメ版をよく踏襲している。最大の違いはアニメと実写という表現手法ではなく、アニメ版がミュージカル映画なのに対して、今回の実写版が歌のないストレートプレイになっている点だ。しかしその場合、これがアニメ版『シンデレラ』の実写映画化と言えるのだろうか? 「シンデレラ」自体はサイレント映画の時代から何度も映画化されているので、ミュージカルにしないならそうした「シンデレラ」と同じだろうに。一応アニメ版の主題歌だった「夢はひそかに」や挿入歌の「ビビディ・バビディ・ブー」などはエンドロールで流れるが、これじゃまるで物足りない。

 物語の作りもなんだかチグハグだ。「美しい娘が王子様と結婚して幸せになる」というシンデレラ・ストーリーは、今の時代には色々な意味で似つかわしくないものになっている。そこでこの映画ではヒロインの「幸運」より、どれほどの不幸に見舞われてもそれに立ち向かう「勇気と優しさ」が強調されることになる。しかしこれが観ていて憂鬱なのだ。ヒロインの父は無責任だし、継母は底意地が悪く、義姉たちは下品きわまりない。ヒロインは将来の展望が何もないまま不幸になり、そこから抜け出す道がまったく見えない。何だかんだと言い訳めいた理屈をこねたところで、彼女が不幸な境遇から救われたのはフェアリー・ゴッドマザーの魔法と王子様のおかげなのだ。『シンデレラ』にリアリズムは似合わない。中途半端にリアリズムを持ち込めば、ファンタジーが嘘くさくなってしまう。だったら最初から、歌って踊ってハッピーなミュージカルにしておけばいいのに……。

(原題:Cinderella)

TOHOシネマズ錦糸町(スクリーン2)にて
配給:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
2015年|1時間45分|アメリカ|カラー|2.35 : 1|ドルビーデジタル
公式HP: http://www.disney.co.jp/movie/cinderella.html
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt1661199/

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