at Home アットホーム

8月22日(土)公開予定 全国ロードショー

世にも奇妙な「家族の絆」の物語

at Home アットホーム

 森山家は夫婦と二男一女の5人家族。東京郊外の一戸建てに住む仲睦まじい家族だが、彼らには他人に言えない大きな秘密があった。じつは森山家は本当の家族ではなく、全員血のつながらない赤の他人同士なのだ。一家の大黒柱・和彦の表の顔は便利屋だが、じつは身ひとつで動きまわる空き巣狙い。妻の皐月は年に似合わぬ美貌を武器に、金持ちの男たちを手玉に取る結婚詐欺師。長男の淳は小さな印刷工場で、パスポートや証券の偽造を手掛ける腕のいい職人だ。中学生の長女・明日香や小学生の次男・隆史も、もちろん家族の稼業を十分に知った上でこの偽造家族の一員になっている。だがこの家族に、思いがけない危機が襲いかかる。不動産王のどら息子をカモにしたつもりの皐月が尻尾をつかまれ、相手の男に拉致されてしまったのだ。「1千万だせ!」と脅す相手に対し、「明日の昼までに」と答える和彦。だがそんな金が一体どこにある? 皐月は無事救出できるのか?

 本多孝好の短編小説「at Home」を、『ふしぎな岬の物語』(2014)の安倍照雄が脚色し、『未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』(2007)の蝶野博監督が映画化した異色ファミリードラマ。血のつながらない他人同士が家族を擬態する「疑似家族」は、映画の中に何度も描かれている。古くはチャップリンの『キッド』(1921)があるだろうし、最近ならジェニファー・アニストンとジェイソン・サダイキスが共演した『なんちゃって家族』(2013)などがある。映画ファンなら、自分のお気に入りの「疑似家族もの」を何本もあげられるに違いない。そもそも映画も含めたお芝居というのは、赤の他人同士が舞台の上やスクリーンの中で家族を擬態して成立しているのだから、「疑似家族もの」は映画とは相性がいいのだ。映画というフィクションの中で、家族というフィクションを演じることで、不思議なことにそこに本物の家族が浮かび上がる。

 一家の中心となる和彦を演じているのは竹野内豊だが、この人は俳優としては芝居の幅が狭くて何考えているかわからないボンヤリしたところが弱点だ。ただ今回の映画については、それがプラスに作用していたようにも思う。全体にウェットでセンチメンタルな味付けがされている映画の中で、竹野内豊だけがその情感に流されることなく最初から最後まで立ち止まっているのだ。竹野内豊には、この物語を動かすだけのエモーションがない。動かしているのは他の家族たちだ。竹野内豊はそうした周辺エピソードにも無反応なまま、やはり最後まで立ち止まったままでいる。家族全員が犯罪者やその加担者という荒唐無稽な設定の中で、竹野内豊が揺らがぬ中心点として機能する。なるほど彼は「一家の大黒柱」だ。もう少し演出にパワーとキレがあればと思わせるところも多いが、映画を観終えた印象に物足りなさはなかった。松村崇継のピアノ曲には、ついホロリとさせられる。

アスミック・エースにて
配給:ファントム・フィルム、KATSU-do 宣伝:ポイン・セット、ファントム・フィルム
2014年|1時間50分|日本|カラー|ビスタ|5.1ch
公式HP: http://athome-movie.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3956722/

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