ベル&セバスチャン

9月19日(土)公開予定 新宿武蔵野館

往年のアニメ「名犬ジョリィ」の実写映画版

ベル&セバスチャン

 1943年のフランス・アルプス地方の小さな村、サン・マルタン。7歳の少年セバスチャンは祖父のセザールと一緒に、山で「野獣」を追っていた。その正体は飼い主に虐待されて逃げ出した巨大な犬だ。野獣は人間に対する恨みを晴らすため、しばしば家畜や人を襲うなどの悪さをしていた。村人の安全のためには、野獣を駆除しなければならない……。だがセバスチャンは山の中で野獣に出会い、あっという間に仲良くなってしまう。犬にベルという新しい名前を付けて、ふたりは親友同士になった。同じ頃、サン・マルタン村にはドイツ軍の将校たちが駐留し、アルプスを越えてスイスに逃れようとするユダヤ人の取り締まりを強化しようとしていた。村では人々が秘かに協力し合い、ユダヤ人たちの亡命を手助けしていたからだ。ある日ドイツ兵が野獣に襲われたことから、村人たちは野獣駆除のための山狩りを命じられる。セバスチャンはベルを助けようとするのだが……。

 原作はセシル・オーブリーの児童文学作品「アルプスの村の犬と少年」で、日本ではこの小説をもとにして「名犬ジョリィ」(1981〜82)というアニメが放送されている。アニメでは「ジョリィ」という名前になっていたが、原作ではこれが「ベル」なのだ。フランスでは1965年にテレビシリーズが作られ、原作者オーブリーの息子であるメーディ・エル・グラウィが主人公のセバスチャンを演じて国民的な人気者になった。今回の映画はそのテレビシリーズの映画版という位置づけで、テレビ版に主演したメーディも小さな役でゲスト出演。映画で劇中とエンドロールに流れるのは、テレビ版の主題歌だ。フランスではこの映画版も好評で、今年になって『Belle et Sébastien, l’aventure continue』という続編も製作されている。大人も楽しめる良質の子供向け映画なので、できれば吹替版などで多くの子供に観てもらいたい。

 主人公のセバスチャンを演じるのは、オーディションで選ばれた新人のフェリックス・ポシュエ。もうひとり(?)の主人公は犬だから、どちらも「巧みな演技」を期待することはできない。しかしこれを大勢のベテラン俳優たちが取り囲んで、物語の世界を深みと広がりのあるものにしている。中でもセザールを演じたチェッキー・カリョの存在感は素晴らしい。物語の中でも重要な役ではあるが、おおそらく彼が演じることで脚本に書かれているより何倍も豊かな人物に膨らんでいると思う。『ニキータ』(1990)などのカリョにリアルタイムで接しているので、「チェッキー・カリョもついにおじいさんか!」という驚きもあるのだが、どうやらそれは本人も感じていたようだ。でも彼ももう還暦なんだな……。アルプス地方の小さな村を再現したセットも素晴らしく、作り手たちのこだわりや物語への愛着が強く感じられる仕上がりになっている。続編の公開も期待したい。

(原題:Belle et Sébastien)

京橋テアトル試写室にて
配給:ミッドシップ、コムストック・グループ 宣伝協力:ブラウニー
2013年|1時間39分|フランス|カラー|シネスコ
公式HP:
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3146360/

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