バトルヒート

7月25日(土)公開予定 丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサ

ドルフ・ラングレン VS トニー・ジャー

バトルヒート

 国際的な人身売買組織のボスがアメリカで逮捕された。コンテナ積みの「荷物」がニュージャージー港に届くと、タイ警察から事前の情報があったのだ。派手な銃撃戦の末にボスは身柄を拘束されたが、彼が溺愛する息子は捜査の指揮を執った刑事ニックに射殺された。ボスは復讐のためニックの家を襲撃して彼の妻子を殺害。重傷を負ったニックが病室で目を覚ましたとき、ボスは既に警察から釈放されて国外に脱出した後だった。外交筋から捜査当局に強力な圧力がかけられたのだ。ニックは病室を抜け出すと、妻子を殺したボスを追ってタイに飛ぶ。だがニックの行動は復讐のための単独行動。明らかに違法行為だ。アメリカ側の連絡を受けて空港で待機していたのは、タイの刑事でやはり人身売買の捜査を担当するトニー。空港で警官たちに追われたニックは、かろうじてタイのスラムに逃げ込むことに成功する。だがそんなニックを、人身売買組織の男たちもまた狙っていた。

 アメリカ人の刑事ニックをドルフ・ラングレンが演じ、タイ警察のトニーをトニー・ジャーが演じるアクション映画。ラングレンは脚本と製作にも名を連ねている。(彼は俳優業だけでなく、脚本や監督やプロデュースもこなす才人なのだ。)監督のエカチャイ・ウアクロンタムはタイを中心に国際的に活躍していて、日本でも10年前に『ビューティフル・ボーイ』(2003)という性同一性障害のムエタイ選手を主人公にした映画が公開されている。今回の映画は俳優陣も結構豪華だ。人身売買組織のボスを演じるのはロン・パールマンや、ニックの上司を演じたピーター・ウェラーは映画ファンにお馴染みの顔。黒人俳優のマイケル・J・ホワイトは、ラングレンやジャーに引けを取らない見事な格闘シーンを見せる。ただしこの役は武術の達人よりも冷静沈着な頭脳派にするのが定石だと思うし、武術系にするなら事前に何らかの説明が必要だと思った。このあたりはB級だ。

 かつて「国際的な犯罪組織」と言えば麻薬の売買と相場が決まっていたのだが、この映画では人身売買というテーマを扱っているのが意欲的だと思う。もちろんこれはB級アクション映画の味付けではあるのだが、その描写は結構シリアスなもので、作り手がこの問題に対して誠実に向き合おうとしていることが伝わってくる。主人公たちが被害者の少女を救出するシーンもあるが、助けることができずにほぞをかむこともある。また例え主人公がひとつの組織を潰したとしても、それ以外にも同様の組織が無数にあることも伝わってくる。映画の結末はそうした現実が生み出す、必然的な到達点なのだろう。この問題にハッピーエンドはあり得ないのだ。巨大な悪に立ち向かうために、主人公たちもまた悪にならねばならない。トニーが無抵抗の悪党たちを何のためらいもなく殺してしまうことには驚かされたが、ニックも家族の犠牲をきっかけに同じ道を歩んでいくことになるのだ。

(原題:Skin Trade)

アスミック・エース試写室にて
配給:ブロードメディア・スタジオ
2015年|1時間36分|アメリカ、タイ|カラー|シネマスコープ
公式HP: http://www.battleheat.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt1641841/

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