パージ:アナーキー

8月1日(土)公開予定 TOHOシネマズ日劇ほか

社会に寄生する貧乏人は殺してしまえ!

パージ:アナーキー

 アメリカの新しい建国の父は、西暦2013年にパージ(浄化)法を施行。これは毎年3月21日の19時から翌朝7時の12時間に限り、殺人を含めたありとあらゆる犯罪行為を国民に容認するものだった。パージによって人々が心の中に持つ暴力衝動は解放され、警備や防犯設備に金をかけられない低所得者層の排除によって社会が洗浄されるのだ。別居に向けて話し合いをしているシェーンとリズの夫婦は、家に向かう途中で車が故障してパージを数時間後に控えた路上に放り出されてしまう。安全な隠れ場所を見つけられないまま、街にはパージ開始を告げるサイレンが鳴り響く。同じ頃、低所得者向けアパートで暮らすエヴァとカリの母子は、アパートを取り囲んだ完全武装の男たちの姿に不安を募らせていた。やがて侵入して来た男たちは母子を拉致。しかし復讐のためパージに参加しようとしていた元警官のレオが偶然現場に通りかかり、彼女らを救出したのだった……。

 先日観た『パージ』(2013)が面白かったので、続編である本作も観ることにした。監督・脚本は前作と同じジェームズ・デモナコで、映画のトーンや世界観は2作品で完全に共通したものになっている。1作目は家に閉じ込められた家族のサバイバルドラマだったが、続編も同じ設定では能がない。ならばどうするか。一番簡単なのは1作目と正反対の方向に話を振ることで、この映画はその一番簡単なことをきちんとやり通している。1作目の舞台が家の中に限定されていたので、2作目は主人公たちが広い街の中を逃げ回る話にした。1作目が家族の物語だったので、2作目は赤の他人同士が力を合わせて危機を乗り越えていく物語にした。1作目はイーサン・ホークやレナ・ヘディという有名俳優が出演していたが、2作目はほとんど無名のキャストになっている。両作品に物語としての連続性はないが、1作目に登場した人物のその後がちらりと描かれているのがわかる。

 1作目の映画で描かれたのは、多くの人間が自分自身の利益のために、他人の痛みや苦しみに対して徹底して無関心に振る舞うという現実だった。だが2作目はそれよりももっと、社会のある特定部分に食い込んでいく。それは世の中の富裕層が、貧困層を食い物にしているという現実だ。2011年にウォール街を占拠したデモ隊は、「We are the 99%」をスローガンにして、アメリカでは上位1%の富裕層に富が偏在しているしていることを批判した。資本主義社会では金持ちが貧乏人の生き血をすすって肥え太っている。一方共産党一党独裁の中国では、貧しい死刑囚の臓器を取り出して売ることが政府公認のビジネスになっている。買うのは当然富裕層で、海外から臓器移植のために訪れる金持ちも多い。『パージ:アナーキー』に描かれている世界は、形を変えて現在の我々の世界にも存在する。しかもこちらは映画と違い、1年365日その状態が続いているのだ。

(原題:The Purge: Anarchy)

東宝東和試写室にて
ユニバーサル映画 配給協力:シンカ、パルコ 宣伝:スキップ
2014年|1時間43分|アメリカ|カラー|スコープ|デジタル
公式HP: http://purge-movie.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2975578/

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