バケモノの子

7月11日(土)公開予定 TOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー

少年は強くなるためバケモノに弟子入りした!

バケモノの子

 人間の世界と隣り合って存在していながら、人間にはその存在が見えないバケモノの世界。その中の国のひとつ渋天街(じゅうてんがい)の宗師が、天界に転生することになった。跡目候補として白羽の矢が立ったのは、強さでは互角の猪王山(いおうぜん)と熊徹だ。人望があり家族や多くの弟子を持つ猪王山に対し、乱暴者の熊徹には家族も弟子もいいない。「跡目を継ぎたければ弟子を持て」と宗師に言われた熊鉄は、人間界に出かけて渋谷の街からひとりの少年を連れてくる。九太と名を付けられた少年は反抗しながらも熊徹の弟子となり、ほんの数年でめきめきと頭角を現して立派な青年へと成長した。だがある日、九太は渋天街と渋谷をつなぐ路地を発見する。人間の世界で少女・楓に出会い、自分はバケモノの世界で生きていくべきか、それとも人間の世界に戻るべきかに悩む九太。そして渋天街の次期宗師を決める試合の日、九太の目の前で思いがけない事件が起きる。

 『時をかける少女』(2006)や『おおかみこどもの雨と雪』(2012)の細田守監督最新作。タイトルを見ても予告編を見ても映画の内容がまったく予想できなかったのだが、映画は少々内容を詰め込みすぎで未整理なところが多い作品になっている。この内容なら2時間にまとめるのではなく、1時間半ずつ前後編に分けるぐらいのボリュームが必要だと思う。その場合、前半はレンがバケモノ界で熊徹の弟子・九太として成長する様子を、もっとたっぷり時間をかけて描く。九太が青年に成長し、再び渋谷の街に戻ってくるところで前半終了。後半は青年に成長した九太が楓に出会い、父との再会もあり、自分の進むべき道について思い悩む物語。熊徹と猪王山の決闘を後半中央部のピークにして、九太自身の決闘となる最後のクライマックスまでもう少しためを作ればいい。まあ実際には2時間しかない中で映画を作っているわけで、前後編プランは無い物ねだりなのだが。

 声優が超豪華な作品だが、演じている役者本人の生の「顔」が透けて見えてしまい、うっとうしく感じられることも多かった。例えばリリー・フランキー、大泉洋、津川雅彦だ。宮崎あおいや染谷将太にも、ややそういうところがある。アニメーション映画のキャラクターより、声を演じる役者の個性が勝ってしまうのだ。熊轍の役所広司は悪くない。これは熊轍というキャラクターの個性が、しっかり確立しているからだと思う。逆に言えば、この映画については熊轍以外のキャラクターにまだ弱いところがあるのだと思う。(このあたりはやはり宮崎駿が上手いんだな。)他にもジブリ作品の影響が強く感じられる作品で、人間界とバケモノ界の関係やバケモノ界の描写は『千と千尋の神隠し』(2001)をどうしても連想するし、人間の心の闇はジブリで映画化した「ゲド戦記」に出てきたモチーフでもある。終盤の渋谷での対決は、いかにも細田守の世界なんだけどなぁ……。

TOHOシネマズ錦糸町にて
配給:東宝
2015年|1時間59分|日本|カラー|ビスタビジョン
公式HP: http://www.bakemono-no-ko.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4272866/

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