インサイド・ヘッド

7月18日(土)公開予定 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

厄介者のカナシミにどんな存在意義があるの?

インサイド・ヘッド

 ライリーが生まれたとき、彼女の頭の中にひとつの感情が生まれた。それはヨロコビ。何事にも前向きで、楽しみに変えてしまうのがヨロコビの特技だ。ライリーの成長に合わせて、他にもさまざまな感情が生まれる。正義感が強くて自分の意志を貫き通そうとするイカリ。不快なものを遠ざけようとするムカムカ。心配性で用心深く危険を避けることを教えるビビリ。どの感情にも、それぞれの大事な役割がある。でもヨロコビのすぐあとに生まれたカナシミは? 何事にも悲観的で、物事の暗い面ばかり見つけてくるカナシミを、ヨロコビは少し厄介な仲間だと思っている。彼女が触れると、大切にしていた楽しい思い出まで、悲しい色に染まってしまうのだ。ライリーが11歳になったとき、一家はミネソタからサンフランシスコに引っ越した。もちろん不安もあるが、こんな時こそヨロコビの出番。だが肝心なときに、ヨロコビとカナシミが司令室から行方不明になってしまう。

 映画本編開始前にピクサー恒例の短編併映アニメの上映があるのだが、今回は「南の島のラブソング」という作品。ハワイアン風の音楽に合わせて、孤独な火山島が生涯の伴侶に出会うまでを描く、(文字通り)スケールの大きなラブストーリーになっている。さらに『インサイド・ヘッド』の本編上映前には、DREAMS COME TRUEの歌うイメージソング「愛しのライリー」がフルコーラスで流れるおまけ付き。これには映画館内の観客のほとんどが「こりゃなんじゃい?」「早く終わらねえかなぁ」という顔をしていたと思う。いや、別にいちいち確認したわけじゃないんだけどね……。

 頭の中にあるキャラクター化された感情が、その人の行動や思いをコントロールしているというアイデアは、今年公開された日本映画『脳内ポイズンベリー』に似ている。『脳内〜』は原作が2009年から連載されている作品なので、『インサイド・ヘッド』をマネしているわけではないのが明らか。といって『インサイド・ヘッド』が『脳内〜』をマネしているとも思えないので、これはまったく偶然に、同じタイミングで映画が製作公開されてしまったのだろう。たぶん両者に共通する元ネタがあるのだと思うが、感情や思考を擬人化するアイデアはC・G・ユングの分析心理学が一番古いルーツになるのかもしれない。

 『インサイド・ヘッド』は脳内で行われる会議そのものがテーマになっているわけではなく、人間にとって何かと厄介なネガティブ感情の存在意義がテーマになっている。人間は誰しも、悲しんだり、落ち込んだりすることがある。それを擬人化したのがカナシミだが、映画の中でヨロコビはカナシミの存在意義に気づかず、彼女を厄介者扱いして遠ざけようとするのだ。そのことが、ライリーの人格に大変な問題を引き起こすことになるとも知らずに……。この映画は強引なポジティブシンキングを、ユーモアたっぷりに皮肉った物語なのだ。

(原題:Inside Out)

TOHOシネマズ錦糸町(スクリーン4)にて
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
2015年|1時間34分|アメリカ|カラー|1.85 : 1
公式HP: http://www.disney.co.jp/movie/head.html
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2096673/

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