Dear ダニー 君へのうた

9月5日(土)公開予定 YEBISU GARDEN CINEMA、角川シネマ有楽町

43年ぶりに届いたジョン・レノンからの手紙

Dear ダニー 君へのうた

 ダニー・コリンズはアメリカの人気歌手だ。デビューして40年以上の大ベテランだが、今でも世界中をコンサートツアーで飛び回り、代表曲の「ヘイ・ベイビードール」で大会場のファンを熱狂させるだけの力を持っている。だが誕生日のプレゼントに受け取った1通の手紙が、彼の生き方を変える。それは今から43年前、デビュー間もないダニーの雑誌インタビューを読んだジョン・レノンが書いた直筆の手紙。それはなぜかダニーのもとに届かず、コレクターの手に渡っていたのだ。「金持ちで有名になることで、音楽は堕落するだろうか? 僕はそうは思わないけど、君はどう思う?」。40年ぶりに自分に語りかけてくるジョンの言葉を目にして、ダニーは今後のコンサートをすべてキャンセルし、ひとりニュージャージーに向かう。彼にはそこでやりたいことがあった。それは彼が若い頃にファンの女性に産ませ放り出していた息子トムと再会して、和解することだった。

 『カーズ』(2006)や『塔の上のラプンツェル』(2010)などのヒット作を手掛けた脚本家、ダン・フォーゲルマンの監督デビュー作だ。脚本は彼自身が描いているが、故ジョン・レノンから数十年ぶりに手紙が届くというアイデアは、イギリスのフォーク歌手スティーヴ・ティルストンに起きた実話をもとにしている。(ティルストンのインタビューが映画の最後に挿入されている。)映画では「ジョン・レノンからの手紙」という部分を起点に、あとは自由に想像力を発揮してストーリーを作り上げているようだ。主人公のダニー・コリンズを演じるのはアル・パチーノで、歌手の役なので当然だが、劇中で実際に彼自身が数曲歌っている。物語は彼と息子一家の関わりが中心になるのだが、息子トムを演じるのは『ブルージャスミン』(2013)や『ANNIE アニー』『シェフ 三つ星フードトラック始めました』(2014)にも出演しているボビー・カナベイルだ。

 物語はダニーと息子一家の関わりを中心にしつつ、ダニーと宿泊するホテルの女性支配人の交流や、ダニーに長年付き添ってきたマネージャーとの絆などをサイドエピソードとして挟み込んでいく構成。ところがここに登場するのがアネット・ベニングやクリストファー・プラマーなどアカデミー賞クラスの名優だから、アル・パチーノとの掛け合いが面白くてしょうがない。だがネームバリューがあり、実力も確かな俳優が出てくれば良いかといえば、必ずしもそうではないのだ。映画のバランスで見れば、このあたりはもう少し軽い扱いでもよかった。特にマネージャー役はもっと地味な俳優でいい(下手な役者という意味ではない)。彼がトムを相手に「ダニーはいいやつだ」という話をする場面なんて、完全にその場をクリストファー・プラマーがさらってしまう。こういう配役は新人監督には頼りになるだろうし、映画ファンにも嬉しいけど、映画にとってはどうなのかなぁ。

(原題:Danny Collins)

アスミック・エース試写室にて
配給:KADOKAWA
2015年|1時間47分|アメリカ|カラー|スコープサイズ|5.1ch
公式HP: http://deardanny.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt1772288/

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