パパが遺した物語

10月3日(土)公開予定 新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

父の病気は治っていなかった……

パパが遺した物語

 1989年。小説家のジェイクは自動車運転中の事故で妻を亡くし、自らも重傷を負った。だが幸運なことに、同乗していた愛娘ケイティは無事。母親のいなくなった家庭で、ジェイクとケイティふたりきりの生活が始まった。だが事故の後遺症で、ジェイクはしばしばてんかんの発作を起こすようになる。治療のために、ジェイクはケイティを亡き妻の姉夫婦に託して入院。だが7ヶ月後に退院して娘を引き取りに行ったとき、義姉から聞かされたのは「ケイティを養女にしたい」という突然の申し出だ。腹を立ててその場を立ち去るジェイクだが、退院して最初に発表した小説は不評で売れ行きも悪い。そこに追い打ちをかけたのが、治ったはずの病気の再発だった……。それから25年が過ぎた。大学院で心理学を学んでいるケイティは、ソーシャルワーカーとして心に傷を持つ子供のカウンセリングを行っている。しかしその彼女自身が、心に大きな問題を抱えているのだった。

 1989年の物語と、その25年後(2014年)の物語が同時進行し、父と娘のかけがえのない愛情関係と悲劇を描き出す感動作。監督は『幸せのちから』(2003)でも親子の愛情と絆を描いていたガブリエレ・ムッチーノで、脚本は本作がデビュー作となるブラッド・デッシュのオリジナルだ。父ジェイクを演じるのはラッセル・クロウ。娘のケイティは、少女時代をカイリー・ロジャース、成長してからはアマンダ・セイフライドが演じている。特に似ているわけではないのだが、シーンによっては表情がうりふたつでドキリとさせられる。このあたりは映画のマジックだ。ジェイクの義姉夫妻を演じるのはダイアン・クルーガーとブルース・グリーンウッド。エージェントにはジェーン・フォンダ。ケイティが世話をする少女役に『ANNIE/アニー』(2014)のクヮヴェンジャネ・ウォレス。どのキャストも実力派ぞろいで、ドラマ部分に関しては見応えも十分だ。

 原題は『Fathers and Daughters(父と娘)』で、これは劇中でジェイクが自分たち父娘をモデルにして書いた小説のタイトルだ。映画は過去と現在を同時進行させるが、現代パートでは父親の姿が不在になっていて、その理由が最後に明かされる仕掛けになっている。ところが邦題は『パパが遺した物語』だから、これでは察しのいい人は映画のオチを先読みしてしまうだろう。成長したヒロインはセックス依存症になっているのだが、こんなヒロインを映画で観たのは橋口亮輔の『ハッシュ!』(2001)以来かもしれない。『ハッシュ!』の描写はかなりドライだったが、この映画の描写はもっとヒロインに寄り添っていく。セックスに依存する自分が嫌で嫌でたまらないのに、どうしても男あさりをやめられないケイティの病んだ心が悲しすぎる。ここで彼女をどん底にまで突き落とすから、その後のジュークボックスのエピソードが最高に盛り上がるのだ。

(原題:Fathers and Daughters)

ギャガ試写室にて
配給:ギャガ
2015年|1時間56分|アメリカ、イタリア|カラー|シネスコ|5.1chデジタル
公式HP: http://papa.gaga.ne.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2582502/

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