クーデター

9月5日(土)公開予定 新宿バルト9ほか全国ロードショー

シャープな演出が冴える脱出アクション

クーデター

 ジャック・ドワイヤーはアメリカの大手水道会社が委託した事業の責任者として、家族と共に東南アジアの某国に赴任することになった。だが空港への会社の出迎えはない。飛行機で知り合ったハモンドというイギリス人と市内のホテルへ向かった一家だが、一流ホテルとは名ばかりで水道も電気も不安定なオンボロ設備しかない。翌朝新聞を買いにホテルから外に出たジャックは、警官隊と暴徒の衝突に巻き込まれてしまう。からくも現場を脱出してホテルの近くに戻れば、そこでは暴徒たちが外国人を射殺しているではないか。クーデターが起きたのだ。反乱グループの標的は外国人。やがてホテル内にも反乱グループがホテルになだれ込み、宿泊客や従業員たちは屋上に逃れた。とりあえずここで、助けが来るのを待つしかない。やがて現れるヘリコプター。これで助かったと胸をなで下ろすジャックたちだが、ヘリから身を乗り出した男は屋上の人々を銃撃しはじめるのだった。

 オーウェン・ウィルソン主演のサバイバル・アクション映画。主人公が周囲をすべて敵に囲まれた場所から安全圏へと脱出する話だが、これは同じくウィルソンが主演した『エネミー・ライン』(2001)と同じアイデアだ。ただし『エネミー・ライン』の主人公は軍人だったが、今回の主人公は民間人。舞台はボスニアの山の中から東南アジアの都市部になり、仲間を失いたったひとりで敵から逃げていた主人公は今回妻や子供たちと一緒なのだ。故郷を遠く離れたアジアで欧米人の家族が未曾有の大災難に襲われるという筋立てからは、スマトラ沖地震の津波被害に巻き込まれた一家を描く『インポッシブル』(2012)も連想される。ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーが夫婦役で出演していた『インポッシブル』に比べると、本作のオーウェン・ウィルソンとレイク・ベルは少々弱いかもしれない。ピアース・ブロスナンの出演は、映画ファンには嬉しいんだけどね……。

 映画冒頭でクーデターの勃発を描き、そこから一度時計の針を戻した上で、あとは時系列に主人公一家が巻き込まれる数々の出来事を描いていく構成。観客は事前にクーデターの発生を知っているので、「このまま飛行機が現地に向かわず引き返せばいいのに」「迎えが来なければ空港に留まっていた方が安全なのかも」「なんで家族をほったらかしてホテルから出て行くんだよ!」とハラハラしっぱなし。ジェットコースターが少しずつコースの最高地点に引き上げられていくのを、ドキドキしながらただ待っているしかないのと同じサスペンスだ。コースターが最高地点から加速しながら滑り出すと、もうあとは行き着くところまで行くしかない。監督・脚本はM・ナイト・シャマラン原案の『デビル』(2011)が日本でも公開されているジョン・エリック・ドゥードル。B級映画ではあるけれど、最後までだれない演出は上手いと思う。今後の動向に注目すべき監督だと思う。

(原題:No Escape)

松竹試写室にて
配給:クロックワークス 宣伝:スキップ
2015年|1時間43分|アメリカ|カラー|ビスタサイズ|5.1ch
公式HP: http://www.coup-movie.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt1781922/

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