海賊じいちゃんの贈りもの

10月10日(土)公開予定 角川シネマ新宿

おじいちゃんが死んだとき孫たちは……

海賊じいちゃんの贈りもの

 ロンドンに住むマクラウド家の人々は、ありふれてはいるが深刻な問題を抱えていた。夫婦関係が破綻して別居状態なのに、親戚にはまだそれを秘密にしているのだ。それだけではない。夫ダグの父ゴーディが75歳の誕生日を祝うことになり、妻のアビーも子供たちを連れてスコットランドに行かねばならない。まだ小さいな子供たち3人の前で、顔を合わせれば夫婦はまた口喧嘩。「今回だけは我慢してくれ。こんなことはもうこれが最後だから!」と言うダグ。彼の父は末期のガンで余命宣告されている。今回の誕生日が、おそらく最後の誕生祝いになるだろう。何とかスコットランドにたどり着いた一家を、ダグの兄ギャビンが迎える。だがこの兄弟もまた仲が良くない。久しぶりに集まったのに、口喧嘩ばかりの家族だ。ゴーディは孫たちを車に乗せて、海辺に遊びに行くことにする。だがそこでゴーディは急死。孫たちは祖父の遺体を前にあることを思いつくのだった……。

 『ゴーン・ガール』(2014)で失踪する妻を演じたロザムンド・パイクと、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005)や『フライトナイト 恐怖の夜』(2011)に出演したデヴィッド・テナント主演のコメディ映画。ヴァイキングの血を引く祖父ゴーディを演じるのは、大ベテランのビリー・コノリー。数々の問題を抱えた一家が、子供たちの無邪気な行動が引き起こした騒ぎによって絆を取り戻すという物語だ。しかしそこで起きる騒動というのが、ちょっと大変なことだったりする。「死んだあとまで家族のいさかいを見ていられない。自分が死んだら、祖先のように遺体を海に流してほしい」と祖父が言っていたのを、孫たちが真に受けたのだ。そうとも知らぬ大人たちは、主役のゴーディがいないままにパーティの準備を進める。だが帰宅した子供たちが事実を伝えると、大人たちは最初は冗談だと思い、次にパニックを起こし、観客は大笑いすることになる。

 この映画で一番素晴らしいのは、浜辺で息を引き取った祖父の遺体を、孫たちが自分たちの方法で葬り見送る場面だ。観客はここで子供たちが行っている行為を、異様なものだとは思わないだろう。確かに突飛な行動ではあるし、後々トラブルを引き起こすことは目に見えている。でも孫たちの行為は祖父に対する愛情から生まれたものだし、彼らが浜辺で自分の身体よりも大きな流木を拾い集めて必死にイカダを組み立てようとする姿は健気で可愛い。子供の必死な姿を見せられれば、こちらは「がんばれ、がんばれ!」と声援を送りたくなってしまう。炎に包まれたイカダがゆっくりと海の彼方に去って行く場面は、荘厳で感動的ですらある。これで一仕事終えたという達成感を、観客はこの場面で子供たちと共に味わう。この場面で観客をしっかり共感させることができた点で、この映画は成功なのだ。ここで生まれた「家族の一体感」に、あとは他の大人たちを巻き込めばいい。

(原題:What We Did on Our Holiday)

松竹試写室にて
配給・宣伝:エスパース・サロウ
2014年|1時間35分|イギリス|カラー|ビスタサイズ|DCP
公式HP: http://kaizokujiichan.espace-sarou.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2725962/

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