ヒロイン失格

9月19日(土)公開予定 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

桐谷美玲が邪道の王道ヒロイン(?)を大熱演

ヒロイン失格

 松崎はとりと寺坂利太は小学校時代からの幼なじみで、今は同じ高校のクラスメイト。はとりは利太のことが大好きだだが、告白し損ねているうちに同じクラスの安達さんが利太と付き合うようになってしまったのだ。そんな馬鹿な! 利太のことをずっと昔から見つめ、利太のことを誰よりも理解している自分が、利太にとっての理想の恋人のはずなのに! しかも安達さんはクラスの中でも地味で目立たないメガネっ娘で、メガネを外すとちょっと可愛い女の子。それがふとしたきっかけで、クラスでも女子に人気のある利太と付き合うようになるなんて、まるで少女マンガのような王道ヒロイン。それに比べて自分は、利太の幼なじみの地位にあぐらをかき、はっきり告白しないうちに邪魔者に彼を取られて嫉妬に燃えるちょっとキレイな少女マンガの憎まれ役だ。かくなるヒールに徹して、利太を略奪するしかない。だがそんなはとりに、クラスのイケメン弘光が接近してくる。

 幸田もも子の同名コミックを、桐谷美玲主演で映画化したラブコメディ。利太を演じるのはNHKの朝ドラ「まれ」で主人公の相手役を演じている山﨑賢人。はとりに接近する弘光廣祐を演じるのは、モデル出身で今年は映画に出まくっている坂口健太郎。恋のライバル安達未帆は『こっぱみじん』や『さまよう小指』(共に2014)の我妻三輪子。親友のオナカ(愚かなる中島)こと中島杏子を、ものまねタレントでもある福田彩乃が演じている。基本的にはこの5人ぐらいで物語が回っていくのだが、他にもワンポイントのゲスト出演なども含めて出演者は結構にぎやか。映画の前半はCGを多用した心理描写や、ゲスト俳優を使ったギャグ、桐谷美玲の大げさな演技(ほとんど顔芸の世界)で観客を大笑いさせ、後半ではギャグを控え目にして若い男女の恋のすれ違いをしっとり描いていく。全体のトーンを統一したままラストまで突っ走る、演出のバランス感覚がいい感じだ。

 原作は未読だが、映画は高校生の男女交際からセックスの問題を排除しているので、「付き合っている」と「ちゃんと付き合う」との境界線が曖昧なのがやや弱いかもしれない。映画終盤ではとりが「弘光くんの彼女になる!」と意気込むのだが、映画の中のふわふわした関係病者だと「じゃあお前たちは今まで付き合ってなかったのかよ!」と言いたくもなるのだ。でもこの映画は性の問題をオミットすることで、小中学生の女の子にも安心して観てもらえる作品に仕上がっている。このあたりは作り手の判断として正解だったのではないだろうか。桐谷美玲は春に公開された『恋する♡ヴァンパイア』よりずっと良かったと思う。一皮むけて女優としてひとまわり大きくなったのではないだろうか。相手役では利太役の山﨑賢人より、弘光役の坂口健太郎がいい。現在公開中の『at Home アットホーム』にも出演しているが、長身イケメンだが骨っぽさも併せ持つ二枚目なのだ。

ワーナー・ブラザース試写室にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
2015年|1時間52分|日本|カラー
公式HP: http://heroine-shikkaku.jp
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4396042/

ヒロイン失格」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 映画瓦版に人名をタグ付けすることにした | 新佃島・映画ジャーナル

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