ウーマン・イン・ブラック2 死の天使

11月21日(土)公開予定 シネ・リーブル池袋

古い館にこびりついた死の記憶

ウーマン・イン・ブラック2 死の天使(表)

 ドイツ軍による連日の空襲さらされていた、第二次大戦中のロンドン。教師のイブは空襲を避けるため、子供たちと一緒にとある田舎町にある寂れた屋敷に疎開する。イールマーシュの館と呼ばれるその屋敷は長らく無人で荒れ果てていたが、イブはそこに何者かの気配を感じる。ここは本当に無人なのだろうか? ここにやって来る直前に両親を亡くした少年エドワードも、屋敷の中にいる何者かの気配におびえていた。やがて屋敷で、最初の犠牲者が出る。少年のひとりが夜中に屋敷を抜け出し、沼地で亡くなっているのを発見されたのだ。扉にはすべて鍵をかけていたはずなのに、どうやって外に出たのだろう。これは不幸な事故なのか? それとも何者かのしわざなのか? 死の動揺が収まらぬまま、やがて第二の犠牲者が現れる。その頃にはもう、屋敷から漂うただならぬ気配は隠しようのないものになっていた。イブは子供たちと屋敷から逃げ出すことに決めるのだが……。

 ダニエル・ラドクリフ主演のホラー映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(2012)の続編。今回の物語は前作から40年ほど後の話になり、イールマーシュの館は土壁があちこちはがれ落ちたり天井が抜けかけるなど、その荒廃ぶりは前作以上のものになっている。前作は屋敷のあちこちにまだ前に住んでいる人の気配が残っていることで生まれる不気味さだったが、今回の映画では屋敷から生きた人間の気配が消えていて、そこに人間ではあり得ない何者かが動きまわる。恐ろしさの質がやや異なっているのだ。前作はスーザン・ヒルの小説「黒衣の女 ある亡霊の物語」に基づいているが、今回の映画はオリジナル脚本になった分、映画的な見せ場を増やそうという作り手側の意図もあるに違いない。主人公は前作が男性で、本作は女性。物語の舞台も前作は屋敷とその周辺に限定されていたが、本作ではロンドンも含めた広い範囲に拡張されている。映画的な続編なのだ。

 登場人物のすべてが多くの「死」にとらわれ、そこから離れがたくなっているというのがこのシリーズで前作から引き継いでいるポイントだろう。常に絶やすことのない微笑みの裏側に、大きな悲しみと苦しみの記憶を抱え込んでいるヒロインのイブ。肉親の突然の死にショックを受け、言葉を失ってしまった少年。パイロットの青年はある出来事が原因で海を恐れるようになっている。「死」は単なる個別の現象ではない。それは周囲の人の心に、深い傷を残して苦しめ続ける。イールマーシュの館に救う亡霊は、いわばそんな「死の記憶」の象徴だ。死の記憶にとらえられた人は、その苦しみから逃れようとして無関係な周囲の人々をも苦しめる。館に巣くっている亡霊は八つ当たりのようにして館と関わりを持つ無関係な人々に取り憑くが、じつは同じことを、今生きている人間も行っている。そこで生まれる心の共鳴現象が、この物語の底に流れる不気味さの正体かもしれない。

(原題:The Woman in Black 2: Angel of Death)

ショウゲート試写室にて
配給:フレシディオ 宣伝協力:ウフル 協力:松竹
2014年|1時間38分|アメリカ、カナダ、イギリス|カラー|DCP
公式HP: http://www.wib-2.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2339741/

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