はなちゃんのみそ汁

12月19日(土)先行公開予定 テアトル新宿、福岡県内
1月9日(土)公開予定 全国ロードショー

母はまだ幼い娘にみそ汁作りを教えた

はなちゃんのみそ汁

 新聞記者の安武信吾は、取材で知り合った音大生の千恵に一目惚れ。猛アタックの末に交際がスタートするが、互いに結婚を意識した頃に見つかったのが彼女の胸のしこりだった。医者の診断は乳ガン。千恵は一方の乳房を全摘することに加えて、長く続く抗ガン剤治療の影響で子供は産めないかもしれないと宣告される。だがそれでも信吾の決意は変わらなかった。ふたりは結婚。しばらくして、ふたりとも諦めていた子供も授かった。妊娠出産はガン再発のリスクを高めるが、夫婦は周囲の応援もあって出産を決意し、無事産まれた女の子は「はな」と名付けられる。その直後、千恵の病気が再発した。病院でのホルモン療法に加え、信吾と千恵は難病に効果があるという食事療法にもチャレンジ。こうした努力が功を奏したのか、千恵の身体からはガンが消えた。夫婦と子供ひとりの幸せな暮らしは数年続いた。千恵は4歳になったはなに、少しずつ料理を教えはじめるのだった。

 原作は2012年に発売された同題のエッセイ。これはテレビでも内容が紹介されて大評判になり、昨年の「24時間テレビ」では関ジャニ∞の大倉忠義、尾野真千子、芦田愛菜の主演でドラマ化されている。今回の映画版では、同じ役が滝藤賢一、広末涼子、新人子役の赤松えみな。ドラマ版よりずっと原作に近い配役だし、ロケ地も原作と同じ福岡中心。登場人物も方言丸出しでしゃべるなど、ローカル色の濃い映画になった。映画の作り手の、原作とモデルになった家族に対するリスペクトだろう。キャストの中で異色なのは、千恵の姉を演じた一青窈。彼女は本作のために主題歌「満点星」を書き下ろしており、劇中でこれをヒロインが歌う場面が映画のクライマックスだ。広末涼子の歌声は大学で本格的に声楽を学んでいたようには見えないのだが、病気で以前の声が出なくなっているという設定だから不自然さはない。この場面で、僕は不覚にもちょっと泣いちゃいました。

 タイトルにもある通り、これは母の千恵から娘のはなに伝えられたみそ汁の物語だ。ガン治療のためにとある「名医」を訪ねた千恵と信吾は、そこで病気に打ち勝つ身体作りのため食べ物が大切だとレクチャーされる。基本は玄米ご飯とみそ汁なのだという。この「名医」との出会いによって千恵は玄米和食の信奉者となり、タイトルにもある「みそ汁」へとつながっていく。だがこうした療法も交えて一度はガンを克服し、その後も健康的な食事で生活が根本から改善されたのだという過信が、二度目のガン再発を見落とす原因になったようにも思える。映画では主治医からの定期健診の誘いを何度も無視したり、抗ガン剤治療をかたくなに拒否するという話が少し出てくる。食事療法に対する信仰に近い献身が、結局は千恵の命を縮めた可能性は大きいだろう。だがこの食事療法は残された家族に、玄米和食という習慣を残す。玄米和食そのものが悪いわけではないんだけどね……。

アスミック・エース試写室にて
配給・宣伝:東京テアトル パブリシティ:ピー・ツー、フラッグ
2015年|1時間58分|日本|カラー|ヴィスタ|5.1ch
公式HP: http://hanamiso.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3917264/

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