ディーン、君がいた瞬間(とき)

12月公開予定 シネスイッチ銀座

その日のジミーはまだ無名の若者だった

ディーン、君がいた瞬間(とき)

 1955年。カメラマンのデニス・ストックは、写真家としてなかなか芽の出ない自分に苛立ちながら、日々の生活費を稼ぐためにハリウッドをうろついていた。その晩に訪れたのは、映画監督ニコラス・レイのパーティ。デニスはそこで、ジェームズ(ジミー)・ディーンという見慣れない顔の若い俳優に出会う。「明日は『エデンの東』の試写があるから観てくれよ」と言われて観てみれば、なんと昨日の若者が主役ではないか。しかもすごい存在感だ。こいつは間違いなくスターになる。今のうちにこいつを撮って、自分を売り出したい! デニスはジミーに自分の被写体になってくれと申し出るが、相手は何だか煮え切らない態度のままニューヨークに帰ってしまう。デニスは自分の企画をライフ誌に売り込んで取材費をせしめると、ジミーを追ってニューヨークへ。だが今度はジミーが、「インディアナの実家に帰る」と言いだした。デニスはこの旅にも同行することになる。

 ジェームズ・ディーン(1931〜1956)は、たった3本の主演作でハリウッドの伝説になった俳優だ。映画は1951年頃から端役出演の経験があるが、はじめてタイトルに名前が出たのは1955年の『エデンの東』。鮮烈な主演デビューだったが、同年に第2作『理由なき反抗』が公開される前には既に自動車事故で亡くなっていた。翌年には遺作となった『ジャイアンツ』が公開されて、彼の伝説は完成したのだ。活躍していた期間があまりに短かったため、映画ファンはジミーのプライベートな素顔をほとんど知ることができない。現在世間に出回っているジェームズ・ディーンの私生活のイメージは、ひとりの写真家が1955年2月に撮影したポートレートによるところが大きい。例えば煙草をくわえたジミーが、コートの襟を立ててポケットに手を突っ込んだまま雨のタイムズスクエアを歩く場面などだ。本作はこの有名なポートレートの背景を描いた映画なのだ。

 物語の語り手はロバート・パティンソン演じるデニス・ストックだが、実際の主人公はデイン・デハーンが演じるジェームズ・ディーンだ。パティンソンが若いカメラマンの野心や人生への迷いをきめ細かく演じていたのに比べると、デハーンのジミーはふわふわと頼りなくいい加減な男に見えてしまうのが残念。ジェームズ・ディーンの持つ弱さや迷いは強調されていたが、彼か同時に持っていた力強いカリスマ性がこの映画の中で表現できていたとは思えない。ただし映画の最後の方で、ジミーがデニスに会いに来る場面は良かったと思う。これがこの映画の中で、デハーンが最もジミー・ディーン本人に接近した場面ではなかろうか。

 なお映画には『エデンの東』以前のディーンに関するエピソードを集約しているので、女優ピア・アンジェリとの恋愛と破局は時期がずらされている。『スタア誕生』の公開は1954年だ。まあこれについては、ファンなら承知のことですね。

(原題:Life)

GAGA試写室にて
配給:ギャガ
2015年|1時間52分|カナダ、ドイツ、オーストラリア|カラー|シネスコ|5.1chデジタル
公式HP: http://dean.gaga.ne.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2948840/

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