クロスロード

11月28日(土)公開予定 新宿バルト9ほか全国ロードショー

ボランティアなんて自己満足だろ?

クロスロード

 カメラマンの沢田は仕事で訪れた東北の被災地で、かつて青年海外協力隊で同期だった羽村と再会する。今から10年以上前、スタジオカメラマンの助手をしたいた沢田は将来進むべき道に迷っていた。そんな時紹介されたのが、青年海外協力隊だ。協力隊員の立場を利用して途上国に行けば、自分なりの写真のモチーフを見つけられるかもしれない。ずいぶん身勝手な応募理由だったが、どういうわけか沢田は採用されて訓練所での合宿生活がはじまる。そこで出会ったのが羽村だ。「派遣先の人達のためにつくしたい」と言う羽村と、「ボランティアなんて自己満足だ」と言う沢田は訓練中もしばしば対立。しかし訓練が終わると、犬猿の仲のふたりは揃ってフィリピンに派遣されることになる。都市部の観光局でPR用写真の技術指導をする沢田と、農村の改良運動に打ち込む羽村。ふたりは任期中も現地でもたまに顔を合わせるたびに、小さな衝突を繰り返していたのだが……。

 ODAの一環として日本が世界各国に派遣している青年海外協力隊は、1965年に発足して今年で創立50周年を迎える。それを記念して作られたのが本作で、これを観ると「海外青年協力隊とはこうなっているのか」とおおよそのことがわかるようになっている。主人公の沢田樹を演じるのはEXILEの黒木啓司。彼と対立する羽村和也には渡辺大。上記のあらすじには書かなかったが、主人公たちと同期の女性協力隊員・野村志穂をモデル出身のTAOが演じている。脚本は一般公募で大賞に選ばれた佐藤あい子のオリジナル作品を、『闇金ウシジマくん』の福間正浩も加わって練り上げたもの。すずきじゅんいち監督は、本人も1980年代に青年海外協力隊員としてモロッコに派遣されたことがあるという。限られた映画の中ではあるが、青年海外協力隊の仕組み、主人公たちの織りなす人間ドラマ、派遣先であるフィリピン社会の様子などをバランスよく盛り込んでいる。

 性格も行動も対照的なふたりの主人公が、衝突や葛藤を乗り越えながら成長して行く青春ドラマだ。青年海外協力隊の立場から「ボランティア大事です!」とか「これが日本の国際貢献です!」といった正義や正論を正面に出すのではなく、むしろこうした活動に懐疑的で嫌悪感さえあらわにする青年を主人公にしたアイデアは面白いと思う。なぜ彼がこうした態度を取るのかは映画の中盤で明かされるのだが、これはもっと早い段階で明かしておいてもよかっただろう。またカメラマンの沢田に比べると、商社マン出身だという羽村の志望動機や背景が少しわかりにくいのも残念だ。沢田は羽村に自分の父親の姿を重ね合わせて反発しているので、いっそ羽村をもう少し年配の妻子持ちの男などにしても良かったかもしれない。全体としては好印象が持てる後味のいい映画なのだが、「ここがすごく良かったよね!」と熱く語れる場面があまりないのが映画作品としての弱さだろうか。

東映第1試写室にて
配給:フレッシュハーツ 宣伝:東映エージェンシー
2015年|1時間43分|日本|カラー
公式HP: http://crossroads.toeiad.co.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/name/nm0840594/

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