ドラゴン・ブレイド

2016年新春公開予定

ローマ帝国の精鋭は中国西域に消えた

ドラゴン・ブレイド

 紀元前50年。前漢代の中国西域には36の少数民族が点在し、時として互いに敵対していた。西域地区は地中海地方と中国を結ぶ交通の要衝だ。中国側はこの地域を安定させるため西域警備隊を配置し、警戒に余念がない。西域警備隊の隊長フォ・アンは、自分の隊にかけられた嫌疑の責を負って西域の砦に赴任する。そこにやって来たのが、将軍ルシウスに率いられた数千人のローマ帝国軍だ。ローマ軍は砦を守る警備隊と一触即発の事態。しかし瞬時にルシウスの腕と器量を認めたフォ・アン隊長の機転もあって、長旅で疲れたローマ軍の全員が砦に収容されて事なきを得ることができた。ルシウスは執政官クラッススに仕えていた歴戦の強者だ。だが執政官の長男ティベリウスが権力簒奪のため父を殺したとこから、本来の後継者となるはずだった幼年のプブリウスを連れて逃げているのだ。民族を超えた友情が芽生えたのもつかの間、砦にはティベリウスの軍勢が迫って来た。

 紀元前に西洋と東洋か交流を結んだ中央アジアを舞台に、中国の西域警備隊を中心とする多民族連合軍と、精強なローマ帝国の大軍がぶつかり合うという歴史アクション映画だ。これだけの規模の映画でありながら、上映時間は1時間43分というコンパクトさ。じつは今回日本で公開されるのはアメリカ公開バージョンで、オリジナルは2時間7分だとIMDbには記載されている。コンパクトな映画はありがたいが、この映画についてはちょっと切りすぎだとしか思えない。例えばフォ・アン隊長がかつての部下に救援を求める場面など、まったくストーリーがつながらなくなっているのだ。似た編集はかつてテレビの洋画劇場でしばしば見かけた。2時間の映画をテレビの尺に無理矢理縮めれば、あちこちに無理が出る。ただしこの映画は余裕を持ってつなぐと、2時間7分でも時間が足りるのかどうか。どうせつながらない話だから、開き直って乱暴なつなぎにしたのかな……。

 物語にはかなり政治的なニオイが感じられる。中国は国内に少数民族問題を抱えていて、その同化に向けて心を砕いている。映画は冒頭で、少数民族同士の小競り合いを描く。そこに登場するのが国境警備隊のフォ・アン隊長。彼もまた少数民族出身なのだが、中国(前漢)のために働くことに誇りを持っている男だ。彼は少数民族同士を和解させ、最後は力を合わせて中国のために外敵と戦わせている。これだけなら「中国万歳!」で終わってしまうのだが、この映画はさらに手が込んでいる。中国の少数民族はローマから逃れてきた軍団と手をたずさえて、それを追ってくる悪徳ローマ人と戦うのだ。中国は中国内部で孤立しているわけではない。自分たちと価値観を共有できる相手とであれは、世界中の誰とでも協力し合ってより大きな敵と戦える。中国は世界貿易のリーダーであり、世界の国々と協力して自由な貿易を守る! そんな政治的メッセージが読み取れないだろうか。

(原題:Dragon Blade 天将雄師)

京橋テアトル試写室にて
配給:ツイン 宣伝:フリーマンオフィス
2014年|1時間43分|中国、香港|カラー|シネマスコープ|5.1ch
公式HP: http://dragon-blade.com
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3672840/

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