ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

2016年1月公開予定 シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ

モーガン・フリーマン&ダイアン・キートン初共演作!

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

 カーヴァー夫妻がブルックリンで暮らし始めて40年になる。引っ越し当初は郊外のひなびた住宅街だったブルックリンも、今ではオフィスや店が立ち並ぶ人気エリアになっている。だが夫妻が暮らすアパートにはひとつ問題があった。建物が古くてエレベーターがないのだ。夫妻の住まいは建物の5階。若い頃は問題にならなかった階段での上り下りが、最近は少々身体にこたえるものになってきた。今のアパートを売って、エレベーター付きの場所に引っ越そう。妻ルースの姪リリーが不動産仲介の仕事をしていることから、夫妻は彼女を介して部屋を売りに出すことを決めた。だが一度は決めたはずなのに、夫のアレックスは部屋を売ることにあまり乗り気になれない。40年を過ごしたこの部屋には、夫婦で過ごした年月の思い出がギッシリ詰まっているのだ。部屋の内覧会には、冷やかしも含めて大勢の客がやって来る。その対応に、ルースは大張り切りしているのだが……。

 ジル・シメントの小説「眺めのいい部屋売ります」を、モーガン・フリーマンとダイアン・キートン主演で映画化した作品。監督はリチャード・ロンクレイン。メインの登場人物はカーヴァー夫妻と姪のリリー。夫妻の飼っているドロシーが重要な役回りでからんでくるほかは、近所の住民やアパートにやってくる客など「その他大勢」の人物ばかりだ。中核になる人物が限定されており、室内シーンが多いことから、原作は小説ながら、映画は舞台劇のにおいがする作品に仕上がっている。これはおそらく、作り手の狙いでもあるはずだ。製作者たちが観客にアピールしたいのは、主演俳優たちの演技そのもの。映画出演のキャリアが長く、アカデミー賞候補の常連のようになっているベテラン俳優同士が、互いの持ち味を存分に引き出し合っている。芝居としては少し「やりすぎ」に思うところもあるが、それらも全部ひっくるめて舞台劇を最前列で観ているような心地よさがある。

 雰囲気が似ている映画としては、『八月の鯨』(1987)を例に出してもいいだろう。『八月の鯨』は老姉妹と友人たちの物語だったが、この映画ではそれが同じように長い長い時間を共有した夫婦の物語になる。年老いた主人公たちの物語に、別の俳優が演じる若き日のエピソードが挿入されるのも同じだ。主人公たちの若い頃を演じたクレア・ヴァン・ダー・ブームとコーリー・ジャクソンが好演している。またこの映画で素晴らしいプロの仕事をしているのは衣装だ。カーヴァー夫妻は夫婦だから、着る服のテイストが似ていなければ不自然だ。だがダイアン・キートンは若い頃から服装のセンスがいいファッション・リーダーで、その持ち味もちゃんと生かさなければ彼女が主演している意味がない。映画はその難しい課題をきちんとクリアしているように見える。また美術スタッフの力で、アパートのセットにからは夫婦の40年間の生活史が感じられるようになっている。

(原題:5 Flights Up)

映画美学校試写室にて
配給:スターサンズ
2014年|1時間32分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|5.1ch
公式HP: http://www.nagamenoiiheya.net/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2933544/

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