ルクリ

第28回 東京国際映画祭 コンペティション

ルクリとはどこか? 彼らはどこへ行くのか?

ROUKLI

 街から少し離れた小さな村。そこからさらに離れた森の近くに、中年の姉弟と姉の夫が住んでいる。かつては弟も結婚していたが、弟の妻は別の男と一緒に街に行ってしまった。だが出て行ったはずの弟の妻が、ある日戻ってくる。一緒にいた男が逮捕され、行き場を失ってしまったというのだ。元夫とよりを戻す気はないらしいが、かといって彼女を見捨てるわけにも行かず、彼女も村はずれの家族に加わる。空からは時々爆音が鳴り響き、爆弾の炸裂する音も聞こえてくる。近くで戦争が行われているのだ。数日後、ラジオは近くの街の壊滅を知らせていた。そんな場所に、2人の男がやって来る。着の身着のままの粗末ななりで、手には武器を持っている。森を抜けてやって来た彼らはペードゥに追われて、ルクリからやって来たと言っている。彼らを匿えば、自分たちもペードゥに危害を加えられるかもしれない。だが姉弟たち4人は彼らを匿い、必要な衣食を提供してしまう。

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父のタラップ車

第28回 東京国際映画祭 アジアの未来

オンボロのタラップ車がダメ親父の人生を変える!

Merdiven Baba

 空港で清掃の仕事をしているファズリは、愛妻スヘイラとふたりの娘の4人家族。だが妻は夫の態度に最近イライラしっぱなしだ。勤続18年なのに昇進とは無縁。安月給で家計をやりくりする妻の気持ちにもなってほしい。スヘイラは子供を連れて、同じ町内の実家に帰ってしまう。「わたしに帰ってほしかったら、車の1台も買ってみせてよ!」というスヘイラの言葉に、ファズリはあることを思いつく。会社が従業員向けに、中古車両を格安で払い下げている。その中に、大型のアメリカ車があったはずだ。会社の倉庫で埃まみれになっていた車は、トラックの荷台に飛行機乗降用のタラップを付けたもの。このままでは公道も走れない。だが「タラップはすぐ外せる」と言われて、ファズリはこの車を購入。しかしスヘイラは、不格好でオンボロのタラップ車を見て怒り出す。やはり離婚か。だがその夜近所で火事があり、ファズリの車が逃げ遅れた人を救出することになった。

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キッド・クラフ 〜少年パッキャオ

第28回 東京国際映画祭 CROSSCUT ASIA #02 熱風!フィリピン

人気ボクサー、マニー・パッキャオの伝記映画

KID KULAFU

 1978年、エマヌエル・パッキャオはミンダナオ島の山間部で貧しい農家に生まれた。付近がゲリラと政府軍の紛争地にり、一家は大都市ジェネラル・サントスに移住。しかし都会での生活に馴染めない父は家に寄りつかなくなり、家族の生活はもっぱら母が支えていた。ある日、母が心臓病で倒れる。エマヌエルは薬代を稼ぐため、街頭の草ボクシング試合に出場した。リングネームは「キッド・クラフ」。これをきっかけに、エマヌエルは本格的にボクシングにのめり込んで行く。それから数年後、彼はマニラのボクシングジムに寝泊まりしながらトレーニングを続け、近くの工場で働いて金を故郷に仕送りする生活を続けていた。だがプロとしてデビューする機会は、なかなかやって来ない。先の見えない日々の中で、酒やタバコの味を覚えるボクサーの卵たち。そんな生活に嫌気が差して、脱落していく仲間たちもいる。だがエマヌエルにとうとうデビューの日がやって来る。

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