ピンクとグレー

第28回 東京国際映画祭 Japan Now
2016年1月9日(土)公開予定 TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー

映画中盤のどんでん返しにびっくり!

ピンクとグレー

 渋谷にある高層マンションの一室で、若手の人気俳優・白木蓮吾が自殺した。彼に呼び出されて遺体の第一発見者になったのは、幼なじみの河田大貴。警察での取り調べを終えて報道陣に取り囲まれる大貴を、彼と同じく蓮吾の幼なじみだった沙理が見つめていた……。3人の物語は、事件からさかのぼること14年前にはじまった。小学生の時、関西から埼玉の団地に引っ越してきた大貴は、同じ団地に住む真吾と沙理と仲良くなる。同じ高校に進学した信吾と大貴は、渋谷で雑誌の読者モデルにスカウトされたのをきっかけに芸能界に入る。ふたりは小さな芸能事務所に所属し、上京して同じアパートで同居生活をはじめた。美大生になった沙理とも東京で再会。だがそれから間もなく、エキストラの仕事で注目された真吾は新進俳優・白木蓮吾としてスターダムにのし上がっていく。そんな真吾を間近に見ながら大貴は自分自身の才能のなさに焦り、いつしか真吾を憎みはじめる。

 原作者の加藤シゲアキは、ジャニーズ事務所のアイドルグループ「NEWS」のメンバーらしい。主演の中島裕翔は同じくジャニーズ事務所のアイドルグループ「Hey! Say! JUMP」のメンバーなので、この映画はジャニーズのタレントが原作と主演を勤めるアイドル映画なのだ。しかし脚本・監督が行定勲だから、これはただのアイドル映画では終わらない。映画ファン向けの仕掛けや趣向をたっぷりと仕込んだ、スリリングな青春映画になっている。

 映画の宣伝コピーでは『幕開けから62分後の衝撃』を売りにしているが、これには確かにびっくりした。あっと驚くどんでん返しだ。映画は約2時間だから、62分はちょうど映画の折り返し点あたり。そこで映画のネタばらしをして、物語はそれまでとはまったく別の領域に入っていく。画面はそれまでのカラーから、突然モノクロームに変わる。しかし後半の内容について、詳細に語るのは避けた方がいいのだろう。

 映画は人気俳優の自殺という衝撃的なエピソードで幕を開け、最終的には自殺の動機が明らかになるというミステリーの形を取っている。だが物語の中盤から終盤にかけて、ミステリーとしての吸引力が急速に衰えてしまうのがこの映画の不思議なところかもしれない。映画は最初に蓮吾の死を強烈に提示しているのに、「白木蓮吾はなぜ死んだのか?」という謎はどこかに吹き飛んでしまう。なぜなら主人公の大貴にとって、蓮吾は消えてなくなったわけではないからだ。蓮吾は死んだ。確かに死んでいる。そのことは、第一発見者である大貴が他の誰よりもよく知っている。だが蓮吾は死んだ後も、大貴を縛り続ける。大貴の人生を支配し、大貴が自分らしく生きたいと願う道に立ちふさがる。生きている大貴が、死んだはずの蓮吾にいつまでも振り回され続けるのだ。死者は時として生きていた頃以上に存在感を増して、あとに残る人間を縛りつける。そこから逃れるのは困難だ。

お台場シネマメディアージュ(スクリーン13)にて
配給・宣伝:アスミック・エース
2015年|1時間59分|日本|カラー、モノクロ|ビスタサイズ
映画祭公式HP: http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=191
公式HP: http://pinktogray.com
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4360406/

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