ガールズ・ハウス

第28回 東京国際映画祭 コンペティション

なぜ結婚式前日に花嫁は死んだのか?

خانه دختر

 大学の友人サミラの結婚式を明日に控え、身支度のための買物に余念がないバハールとパリサ。だが一通りの買物を終えて明日を待つばかりとなったとき、「サミラが死んだので結婚式は中止になる」という電話連絡があった。昼間電話で話したときは元気だったのに、これって何かの冗談? だがサミラの携帯には電話が通じない。翌朝サミラの自宅を訪ねたバハールたちは、電話での知らせがウソではなかったと知る。彼女の父は死因を心臓麻痺だと言うのだが、まだ腑に落ちないところも多い。彼女の死をことさら隠そうとしていることも気になる。結婚披露パーティーが行われる予定だったレストランに行くと、店は準備で大わらわ。予約はまだキャンセルされていないのだ。店を予約した婚約者は、まさか花嫁の死を知らないの? じつはその頃、警察ではサミラの父と婚約者のマンスールが取り調べを受けている。サミラの父はマンスールが娘を殺した犯人だと考えていた。

 映画は前半と後半に分かれている。前半は素人探偵もののミステリー映画。結婚式を翌日に控えた花嫁の突然死を不審に思った友人の女子大生が、関係者の証言を集めながら謎の真相に迫って行く。後半は事件の種明かし。時計の針を事件が起きる前まで巻き戻し、前半に登場した人物たちが知ることのできなかった事件の裏側を描く。その内容は、かなり残酷なものだ。映画を観ていて「まじっすか?」とドン引きしてしまったのだが、この問題については日本だろうがアメリカだろうがすべては「程度の問題」でしかないのかもしれない。では「この問題」とは何なのか……。ひょっとするとこの映画は日本で劇場公開されるかもしれないので、書きたいけれどそれについてはあえて書かない。この映画が時間の流れを真ん中で二等分し前後を入れ替えるという構成になっているのは、この真相の衝撃を強調するためだ。それをネタバレさせてしまえば、映画の立つ瀬がないだろう。

 映画前半の素人探偵ミステリー部分が結構面白くできているのだが、それを途中で放り出してしまう展開はユニークだ。「いろいろ考えたら頭が痛くなっちゃった。わたしもう田舎に帰るわ!」なんて普通は反則だろう。素人探偵ものの映画は多いが(ミステリー映画のほとんどはこのパターン)、事件に首を突っ込んだ素人探偵が途中で調査を投げ出してしまうと言うパターンはあまりないと思う。結局この素人探偵の役目は、登場人物の紹介、エピソードや問題点の整理なのだ。もっとも作り手としては、この問題に死んだ花嫁と同世代の女性たちを最後まで付き合わせたくないという配慮があったのかもしれない。死んだサミラと同じ悲劇は、今後彼女たちの身の上にも降りかかってくるかもしれないからだ。サミラの死の真相を彼女たちが知れば、彼女たちはそれについて何らかの批評をしなければならなくなる。この映画は前後二段階の構成にすることで、それを避けたのだ。

(原題:خانه دختر)

TOHOシネマズ六本木ヒルズ(スクリーン6)にて
配給:未定
2015年|1時間20分|イラン|カラー|ビスタサイズ
公式HP: http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=13
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt5111754/

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