ザ・ウォーク

2016年1月23日(土)公開予定 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

これは3Dの大画面で観るべき映画だ!

ザ・ウォーク

 フィリップ・プティの綱渡りに特別な師はいない。基本的には自己流だ。彼が綱渡りに魅せられたのは、子供時代に潜り込んだサーカスがきっかけだった。それからすぐ庭の木にロープを張って、彼は見よう見まねで綱渡りの稽古をはじめた。青年期になった彼は、綱渡りという「芸術」をどこでどう見せればいいのかを日々考えるようになる。そしてある日、歯医者の待合室で見かけた雑誌の記事に、落雷の直撃のような衝撃を受ける。ニューヨークに建設が計画されている世界一の超高層ビル、ワールドトレードセンター(WTC)。双子のように並ぶ2棟のビルの屋上をロープで結び、そこで綱渡りをやりたい。世界一の大都会のど真ん中にある、世界一高い場所での綱渡りだ。それ以来、フィリップはこの考えに取り付かれる。彼はこの無謀な企てに賛同してくれる仲間を集め、仲間内で「クーデター」と名付けた計画を着々と準備していく。だがそこでアクシデントが起きた。

 ロバート・ゼメキスの新作は、1974年8月にWTCのツインタワーで綱渡りを行って世界中をあっと驚かせた実在の大道芸人、フィリップ・プティの伝記映画だ。WTCでの綱渡りについては、2008年に『マン・オン・ワイヤー』というドキュメンタリー映画が作られていて、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞している。そこには当時のニューヨークの風景や、TWCで綱渡りをするプティ本人の姿などがたっぷり見られる。おそらくゼメキスもそれを観たのだろう。そしてこう考えたに違いない。『マン・オン・ワイヤー』では描くことのできなかった風景を、3D技術を使った劇映画の中で再現したい。それは世界一の綱渡り師フィリップ・プティが、世界一高いロープの上から見た風景だ。これまで数多くの3D映画が作られてきたが、立体表現がこれほど効果的に使われている映画はこれまでなかったと思う。高所恐怖症の人にはまったくお薦めできない。

 良質のサスペンス映画は、結果がわかっていても観客をそわそわと落ち着かない気分にさせるものだ。この映画はまさに極上のサスペンス。映画は物語の冒頭にはフィリップ・プティ本人(演じているのはジョセフ・ゴードン=レヴィット)が登場し、自分の過去の冒険について語るという構成になっている。この映画は観客のすべてに、あらかじめ世紀の大冒険が成功することを知らせているのだ。綱渡りは無事成功する。だからこそ、彼はそれについて語ることができる。しかしそれでも、映画を観ているとひやひやする。そわそわする。胸がどきどきして、両手にじっとりと汗をかく。ここ何年間でこれほど手に汗握る映画はなかった。脚本の力もあるのだが、これはやはり映画の「絵」としての力強さだろう。セットとCGを組み合わせて再現された、WTCや当時のニューヨークの風景。『マン・オン・ワイヤー』と同じく、この映画も今はなきWTCへのオマージュなのだ。

(原題:The Walk)

SPE試写室にて
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2015年|2時間3分|アメリカ|カラー|スコープサイズ
公式HP: http://www.thewalk-movie.jp
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3488710/

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