ラスト・ナイツ

11月14日(土)公開 TOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー

いざ、討ち入りでござる!

ラスト・ナイツ

 群雄割拠の長い戦乱の果てに帝国が世界を統一し、人々がようやく平和をつかみ取った時代。だがそれは、権謀術数に長けた権力者たちが支配する腐敗の時代でもあった。帝国の片隅で先祖伝来の豊かな領地を守ってきたバルトーク卿は、帝国の実権を握る大臣ギザ・モットからの賄賂要求を拒絶したことで斬首刑に処せられた。所領は没収され、騎士ライデンに率いられた家臣団たちも、住み慣れた故郷を離れることとなる。ギザ・モットはライデンたちの復讐を恐れて居城の守りを堅くすると共に、身辺警護の騎士イトーにライデンの監視を命じる。だがライデンは酒色にふける怠惰な生活で身を持ち崩し、もはや復讐などすっかり忘れているように見える。彼が主君拝領の名刀を手放したのは決定的だった。大臣はライデンが騎士の魂を失ったことに安堵する。だがこれはすべて敵を欺くための芝居だった。バルトーク家の騎士たちは、亡君の仇ギザ・モットを倒すため決起した。

 日本人には馴染みの「忠臣蔵」を、中世ヨーロッパに移し替えて映画化した剣戟アクション映画。監督は『CASSHERN』(2004)や『GOEMON』(2009)の紀里谷和明。出演はイギリスからクライヴ・オーウェン、アメリカからモーガン・フリーマン、日本から伊原剛志、韓国からアン・ソンギ、ニュージーランドからクリフ・カーティス、ノルウェーからアクセル・ヘニー、イスラエルからアイェレット・ゾラー、イランからショーレ・アグダシュルーなど、まるで国際博覧会のようなキャスティング。日本では「紀里谷監督のハリウッド進出作品」「アメリカ映画」と紹介されているが、IMDbによれば本作はチェコと韓国の合作映画らしい。まあこのへんはどこからお金を集めてどこで撮影や作業を行い税務処理するかという話であって、すべての仕事の起点がハリウッドならハリウッド映画なのだろう。いずれにせよ、これが日本映画でないことは確かだ。

 物語の舞台は中世ヨーロッパだが、これは歴史上のどこにもない架空のヨーロッパだ。そこには東洋系の住人もいれば、アラブ系の人たちもいる。前作『GOEMON』では絢爛豪華な色彩で架空の安土桃山時代を作り上げた紀里谷監督だが、今回はモノトーンの落ち着いた色彩で作品世界をまとめ上げている。アクションシーンの演出も、全2作とは正反対のリアリズム基調だ。映画導入部から中盤までは、この映像とムードにかなり引き込まれる。ただ僕などは「忠臣蔵」の話を事前に知っているので、ライデンの芝居にイトーがだまされるエピソードはもう一工夫ほしい。観客が「これではだまされてもしかたない」と納得できる、最後の一押しが弱いような気がする。最近は「忠臣蔵」でもさまざまな新解釈があって吉良上野介を単純な悪役にはしなかったりするが、この映画ではギザ・モットが徹底した悪党になっているのが痛快だ。クライマックスの討ち入りも面白かった。

(原題:Last Knights)

楽天地シネマズ錦糸町(シネマ2)にて
配給:KIRIYA PICTURES、ギャガ
2015年|1時間55分|アメリカ|カラー|シネマスコープ
公式HP: http://lastknights.jp
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2493486/

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