シーズンズ 2万年の地球旅行(日本語版)

2016年1月15日(金)公開予定 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

生命の歴史をたどるドキュメンタリー映画

シーズンズ 2万年の地球旅行

 今から7万年前にはじまった最終氷期は2万年前に最寒冷期を迎え、地球上から多くの生物が絶滅した。しかし一部の生物はその長く厳しい冬を乗り越え、1万年後の春を迎えることになる。この時生き延びた生命の中には、我々人類の祖先も含まれていた。氷河期を終えた世界では、一斉に植物が芽生えはじめる。氷に覆われていた世界は、驚くほど短い時間の内に生い茂る木々の緑に覆われた。森の黄金時代かはじまったのだ! そこではあらゆる動物と植物が、互いに深くつながりながら調和の取れた暮らしをしていた。人間たちももちろん、そうしたつながりの中にいた。森は多種多様な生命を育み、2万年前にはごくわずかな種類しかいなかった生物は千変万化の進化を遂げる。そこでは人間もまだ、多彩な森の生き物のひとつだった。しかし人間が農業をはじめたことで、森は大きく姿を変えていく。木々は切り倒され、動物は家畜になった。森の黄金時代は終わったのだ。

 『WATARIDORI』(2001)や『オーシャンズ』(2009)のジャック・ペランとジャック・クルーゾ監督の最新作は、生物が歩んだ2万年の歴史を旅するタイムトラベル・ドキュメンタリーだ。ネイチャー・ドキュメンタリーとしては、BBC製作の『ディープ・ブルー』(2003)、『アース』(2007)、『ライフ -いのちをつなぐ物語-』(2011)などが正攻法の正統派かもしれない。動物たちのありのままの姿を、無演出で、きっちりと取材し再構成していくスタイルだ。それに対してジャック・ペランの関わるドキュメンタリーは、演出があちこちに入る。彼が製作した『ミクロコスモス』(1996)はスタジオセットの中で撮影されていたし、『WATARIDORI』では調教された鳥たちが使われていた。『オーシャンズ』はドラマ仕立てだ。今回の映画では世界各地で撮影された動物たちの姿を、「過去の世界」として観客に提示している。

 映画に登場する「2万年前の地球」は、もちろん2万年前の地球によく似た風景の「現在の地球」だ。それを「2万年前です!」と言うのだから、これはフィクションだろう。映画には数千年前に森で暮らしていた人間の祖先や、動物たちを狩り、戦争に駆り出す数百年前の人間たちの姿が登場する。これも俳優によって演じられるフィクションだ。映画の最後には「この映画では動物たちを傷つけていません」というテロップが出るが、だとしたら映画の中で動物が死んだり殺されたりする場面もすべてフィクションなのだ。「ドキュメンタリー映画はノンフィクションである!」と考えている人にとって、これは戸惑うことではないだろうか?

 だがむしろこれこそが、本来のドキュメンタリー映画なのだ。ドキュメンタリー映画の父、ロバート・フラハティの『極北の怪異』(1922)や『アラン』(1934)もフィクションだらけ。本作『シーズンズ』はその正統な子孫だ。

(原題:Les Saisons)

ギャガ試写室にて
配給:ギャガ
2015年|1時間37分|フランス、ドイツ|カラー|1:2.35|Dolby Atmos
公式HP: http://gaga.ne.jp/seasons/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4283358/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中