ビューティー・インサイド

1月22日(金)公開予定 TOHOシネマズ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

夜眠ると、翌朝に彼は別人になる

ビューティー・インサイド

 家具職人のキム・ウジンは、朝起きるたびに容姿が別人に変わってしまう特異体質の持ち主だ。身長、体重、年齢、性別、髪の長さや色、肌の色、人種、足のサイズ、視力、話す言葉まで、まったく別人になってしまう。このことを知っているのは母親と、親友でビジネスパートナーでもあるサンベクだけだ。ある日仕事のため家具店に出かけたウジンは、女性店員のイスに恋をする。彼女の顔を見て話をするため毎日のように店に通うが、そのたびに別人になっているウジンにイスが気づくはずもない。彼女と親しくなりたい。彼女と一度でいいからデートがしたい。そのために、やはり第一印象は大切だ。ウジンはイケメン青年になったタイミングで、彼女をデートに誘うことに成功する。でも自分の秘密は話せない。容姿を保つにはとにかく寝なければいいのだ。だが2日の徹夜のあと、ウジンはとうとう寝てしまう。気づいたとき、そこにいたのは頭のはげた中年男だった……。

 映画やテレビドラマの中で、ひとつの役を複数の俳優が演じることがある。一番よくあるのが子供時代と大人になってからのように、ひとつの役が経た時代の変化を表現する場合だ。続編やシリーズ作品を作る過程で、同じ役なのに配役が異なってしまう場合もある。ルイス・ブニュエルの『欲望のあいまいな対象』(1977)やトッド・ヘインズの『アイム・ノット・ゼア』(2008)、テリー・ギリアムの『Dr.パルナサスの鏡』(2009)のように、1本の映画の中で複数の俳優がひとつの役を演じる例もある。だが本作では123人が主人公のキム・ウジンを演じているのだ(重要なシーンを演じる人だけでも21人)。こんな例は、おそらく空前絶後だ。

 原作はインテルと東芝が合作した6エピソードで計40分あまりの広告用ショートフィルム「The Beauty Inside」。原作は主人公がヒロインに秘密を打ち明けて結ばれるところじハッピーエンドになるが、この映画は主人公たちの「その後」を描いていて、むしろその方が面白い。例えば毎日毎日違う男性とデートしている(ように見える)ヒロインを、周囲の人が冷ややかな目で見るようになる。毎日姿が変わる恋人を気持ちの上では受け入れたはずなのに、ヒロインの意識がそれに拒絶反応を示すようになる。今日別れた相手と、明日再会しても自分には相手がわからないのだ。不安と恐怖が、ヒロインを包み込む。しかしウジンにはそんな彼女の気持ちがわからない。

 優れた映画が常にそうであるように、この物語もひとつの「寓話」なのだ。ここで問われているのは、「わたしとは誰か?」であり、「あなたとは誰か?」であり、「わたしたちとは誰か?」でもある。ウジンとイスはそれを問い続けるのだが、これは映画を観ている人たち全員に投げかけられている問いでもあるのだ。恋人同士や夫婦でこの映画を観て、いろいろなことを語り合ってみるのも面白いと思う。

(原題:뷰티 인사이드 The Beauty Inside)

ギャガ試写室にて
配給:ギャガ・プラス
2015年|2時間7分|韓国|カラー|シネマスコープ
公式HP: http://gaga.ne.jp/beautyinside/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4273886/

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