パディントン

1月15日(金)公開予定 TOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー

ロンドンにやって来た子グマの大冒険

Paddington

 暗黒の地ペルーからロンドンのパディントン駅にたどり着いた1匹の子グマ。彼はたまたま通りかかったブラウン夫妻の家に引き取られ、出会った駅の名前にちなんで家族からはパディントンと呼ばれることになる。パディントンは第1日目からブラウン家を水浸しにするなど、とんちんかんなトラブルメーカーぶりを発揮する。これでは、彼をずっと家に置くわけにも行かない。まずは彼が訪ねようとした、ロンドンの知り合いを見つけるのが最優先だ。相手は数十年前にペルーでパディントンの家族に出会った、イギリスの探検家だという。だがあちこちで調べたが、それらしい記録は残っていないのだ。ブラウン夫人はパディントンのかぶっていた帽子から、探検家が地理学協会の関係者だと当たりを付ける。同じ頃、自然博物館の剥製係である美女ミリセントは、ペルーから来た子グマの情報を聞きつけて追跡をはじめた。彼女の目的は、パディントンを剥製にすることだった。

 1958年にスタートしたマイケル・ボンドの児童文学シリーズ「くまのパディントン」を、『ハリー・ポッター』シリーズの製作者であるデヴィッド・ハイマンが実写映画化したファミリー向けのエンタテインメント作品。監督・脚本のポール・キングは、これが日本では初の劇場公開作品になる。英語を話す子グマのパディントンは当然CGだが、アニマトロニクスも使っているようだ。僕は原作を数冊読んでいるはずなのだが、内容はほとんど忘れてしまった。今回の映画は小さなエピソードを原作から拾って、剥製作りに執念を燃やすミリセントの話は映画のオリジナルだと思う。原作は半世紀以上前のロンドンが舞台になっているのでそれを現代に持って来てどうなるかが少し心配だったが、現代風俗と素朴なおとぎ話のムードがバランスよく同居しているのは不思議。地理学協会のエアシューターが象徴的だが、これはハイテクとローテクが同居している架空の世界なのだ。

 今回は英語音声の字幕版を観たが、パディントンの声は息づかいが聞こえるほどマイクに近い位置で録音されていて、他の登場人物たちの声とは明らかに異質なものになっている。それはささやき声のようにも聞こえるし、主人公の心の声のようにも聞こえるのだ。パディントンの声だけが、観客に極端に近い位置にある。パディントンは子グマだし、CGなのに、観客がそこに強く感情移入してしまうのは、こうした演出上の工夫もあるのかもしれない。

 出演俳優ではブラウン婦人役のサリー・ホーキンスと、ミリセントを演じたニコール・キッドマンが飛びきりの存在感だ。特にキッドマンはこの「怪人」を嬉々として演じている様子が、スクリーンを通して伝わってくる。彼女が『ミッション:インポッシブル』ばりの活躍をするあたりは、映画を観ていてついつい笑ってしまうではないか。このオスカー女優の出演によって、映画は大人の鑑賞に堪える娯楽作品になっている。

(原題:Paddington)

TOHOシネマズ錦糸町(スクリーン1)にて
配給:キノフィルムズ
2014年|1時間35分|イギリス、フランス|カラー|スコープサイズ|5.1ch
公式HP: http://paddington-movie.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt1109624/

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