ズートピア(日本語吹替版)

4月23日(土)公開 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

動物たちの理想郷には偏見と差別が隠れていた

ズートピア

 田舎町で育ったウサギの少女ジュディ・ホップスの夢は、動物たちが自由に暮らせる大都会ズートピアで、草食動物としては初の警察官になること。成長したジュディは警察学校を主席で卒業し、憧れのズートピア警察署に着任した。だが「ウサギに警官は無理」と決めつけるボゴ署長は、彼女を交通係の閑職に追いやって最初から戦力外の扱いだ。翌日、行方不明の夫の捜索依頼で警察を訪ねてきたカワウソのオッタートン夫人から話を聞き、ジュディは自分が自分が解決すると約束。だが新人交通係のスタンドプレーに激怒した署長は、48時間以内に事件を解決しなければクビにするとジュディに通告する。警察内に協力者を得られないジュディは、前日知り合った世間ズレしたキツネの詐欺師ニックの手を借りて独自の捜査を開始。だが聞き込みの結果たどり着いた事件の目撃証人は、ジュディとニックの目の前で突然凶暴化して襲いかかって来た。肉食獣が野生に戻ったのだ!

 3Dアニメだが、今回は2Dの日本語吹替版を鑑賞。この映画は3D上映を行っている映画館が少なく、ほとんどの映画館で2D上映が行われている。せっかく映画館で映画を観るのに、映画が本来持っているスペックで鑑賞できないのは残念。日本に輸入される映画は最初から2D版しか用意されていない例も多いのだが(香港映画などは日本ではまず3D上映されない)、この映画は一部の劇場でちゃんと3D上映しているのだから、劇場側が「3Dを上映したい」と申し出れば配給会社は3Dの素材を提供するはずなのだ。それでも2D中心の興行が行われているのは、「3Dにしてもそれに見合う客が入らない」という興行側の判断なのだろう。一時期盛り上がった3D映画熱が、日本では急速に冷え込んでいる。もはや「物珍しさ」で3D映画を観る人はいない。3Dを普及させるには、映画業界として大きなテコ入れが必要だと思うのだが、どうしたもんじゃろうのぉ……。

 映画は差別問題についての寓話だ。「動物に差別なし」というズートピアの建て前があっても、そこには歴然とした偏見と差別がある。「草食動物は警官に向かない」や「キツネは嘘つきで信用できない」などだ。こうした差別は外から強いられるものであると同時に、それぞれの動物たちの行動を内面から規定する。ジュディの両親が娘が警官になることに反対するのも、警官になった娘が交通係に配属されたことを喜ぶのも、そうした内的規定によるものなのだ。この映画は同時に、観客の持つ偏見をも挑発的に批判していく。ライオンハート市長がたくましい雄のライオンであることも、ベルウェザー副市長がおとなしい雌の羊であることも、観客は最初まったく違和感を感じないだろう。だがこの「違和感を感じない」という部分に、観客の中の偏見が隠されている事を映画は暴き出していく。続編が期待できそうだが、その時この映画が何をどう批判するかが今から楽しみだ。

(原題:Zootopia)

109シネマズ名古屋にて
配給:ディズニー
2016年|1時間48分|アメリカ|カラー|シネマスコープ
公式HP: http://www.disney.co.jp/movie/zootopia.html
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2948356/

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